医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 統合失調症のγ帯域自発脳活動、音刺激により上昇-九大

統合失調症のγ帯域自発脳活動、音刺激により上昇-九大

読了時間:約 1分12秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2015年01月19日 PM05:45

幻聴の発生に関わる可能性を示唆

九州大学は1月15日、同大学病院精神科神経科の平野羊嗣特任助教と鬼塚俊明講師、大学院医学研究院神庭重信教授らの研究グループが、統合失調症のγ(ガンマ)帯域自発脳活動が音刺激により上昇することを発見したと発表した。


画像はプレスリリースより

この研究結果は、米国ハーバード大学との国際共同研究によるもの。統合失調症で、知覚や認知機能を司るとされるγ帯域皮質活動を詳細に調べたところ、音刺激を提示した際に、刺激に同期するγ帯域皮質活動「同期γ」が低下すると同時に、同刺激中の自発活動としてのγ帯域皮質活動「自発γ」が上昇していることが明らかになった。さらに、自発γが高いほど同期γが低くなること、幻聴が重症なほど自発γが高いことを発見したという。

これらの結果から、統合失調症の聴覚野で、外からの音刺激により、背景活動としての自発γが異常に上昇し、ランダムに活動することで、結果的に刺激に対する同期性が低下することを解明。このランダムで異常な背景活動が、幻聴の発生に関わっている可能性を示唆した。

統合失調症のバイオマーカーへの応用に期待

近年、統合失調症では、知覚や認知機能を司るγ(ガンマ)帯域(30~100Hz)の皮質活動が異常をきたし、それが病態に関連することがわかってきた。しかし、自発活動としてのγ帯域皮質活動「自発γ」の動態、および同期γと自発γの関係については明らかにされていなかった。

今回の研究から得られた知見は、統合失調症の動物モデルでの結果とも一致することから、今後は、このγ帯域皮質活動異常が、統合失調症の発症前後のどの段階で出現するのかを縦断的に調べることで、早期の診断の補助や早期治療介入への応用を目指すとしている。

なお、この研究成果は、米国医学雑誌「JAMA Psychiatry」オンライン版 に1月14日付で掲載されており、2月にはプリント版に掲載予定としている。

▼外部リンク
九州大学 プレスリリース

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 「働きすぎの医師」を精神運動覚醒テストにより評価する新手法を確立-順大ほか
  • 自己免疫疾患の発症、病原性CD4 T細胞に発現のマイクロRNAが関与-NIBIOHNほか
  • 重症薬疹のTEN、空間プロテオミクス解析でJAK阻害剤が有効と判明-新潟大ほか
  • トリプルネガティブ乳がん、新規治療標的分子ZCCHC24を同定-科学大ほか
  • トイレは「ふた閉め洗浄」でもエアロゾルは漏れる、その飛距離が判明-産総研ほか