高速液体クロマトグラフ質量分析装置を用いて一斉分析
株式会社島津製作所は1月14日、高速液体クロマトグラフ質量分析装置(LC/MS)を用い、多能性幹細胞の培養液に含まれる95成分をわずか17分で一斉分析できるメソッドを開発したと発表した。
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また同社は、東京エレクトロン株式会社が日英の産学官機関と共同で進める「スマート・セル・プロセシング」プロジェクトに参画。その中で同技術を活用し、細胞解析事業に本格的に参入するとしている。
多能性幹細胞を用いた再生医療研究においては、培養期間中、細胞が正しく増殖しているか連続的に細胞の状態を評価する手法の開発が求められている。また、2014年11月に施行された再生医療等の安全性の確保等に関する法律によって、医療機関から外部への細胞培養・加工の委託が可能になり、細胞を大量に培養する中で培養工程や細胞の品質を客観的・科学的に管理したいというニーズは、今後増加することが予想される。
「LC/MS/MSメソッドパッケージ 培地分析」として発売予定
島津製作所の質量分析装置は、多数の成分が含まれる複雑な試料を高感度かつ短時間で一斉分析できることが特長。これを活用した今回の技術は、培地中のビタミン類やポリアミンなどの微量成分から、グルコースやグルタミンなど高濃度で含まれる成分まで、同じ分析バイアルを用いて幅広い成分を一斉に分析することが可能で、培養工程管理や細胞の品質管理に重要な指標の探索などに役立つものと期待される。なお、同技術は、今年2月に新製品「LC/MS/MSメソッドパッケージ 培地分析」として発売予定だという。
また、今回参画を発表したプロジェクトは、東京エレクトロンを中心に技術パートナー企業15社が参加するもの。東京エレクトロンは、半導体製造装置開発で培ったクリーン化技術や各種プロセス技術を応用し、高品質な幹細胞の自動培養・検査プロセス技術(スマート・セル・プロセシング)の確立と標準化を目的とした幹細胞プロジェクトを推進している。
島津製作所は、東京エレクトロンとの連携により、同メソッドパッケージで得られた分析情報をコンピュータで制御された自動培養・検査プロセス装置の中で活用し、安定した品質の細胞調製の実現へつなげていきたいとしている。
▼外部リンク
・株式会社島津製作所 プレスリリース