武藤氏は、前回14年度の診療報酬改定が実質マイナス改定に終わったことに言及。「マイナス改定の流れは当分続くだろう」と見通しつつ、病院薬剤師がエビデンスを示して導入された病棟薬剤業務実施加算の意義を強調。「医師の診察前の薬剤師外来は有効」とし、外来業務の拡充とその評価が課題と指摘した。
特に「高齢者の残薬の問題が多い」とし、医薬品の種類を減らすアドバイスを行うため、外来で高齢者への関与を要望した。病棟薬剤師による経済効果が認められた海外データも示し、「病棟薬剤師はさらに経済効果のエビデンスが求められる」と述べ、薬物治療に介入できる薬剤師の育成を課題に挙げ、そのためには薬剤使用評価が重要になると訴えた。
一方、医薬分業を取り巻く現状に関し、「分業が当たり前のように思っていないか」と問題提起。患者に負担を求める以上、その業務の必要性や価値についてデータやエビデンスを出していくことが必要とし、薬局機能の効果評価をカギに挙げた。
具体的には、薬局薬剤師が在宅高齢者における薬剤使用評価を行っていくことが必要と指摘。65歳以上の高齢者に避けるべき医薬品リストを示した「ビアーズ基準」を用い、「施設在宅から薬剤使用評価を開始し、その経済評価も行ってはどうか」と提案した。
薬局での薬剤使用評価には、「検査値がないとできない」との考えを示し、院外処方箋への検査値表示を求め、「薬局でも薬剤使用評価を先駆けて実践してもらいたい」と語った。
さらに、後発品の使用促進にも薬剤師が果たす役割は大きいとし、14年度改定によって後発品の数量シェアが急速に伸びていることを指摘。政府目標の15年度に数量シェア60%は「楽に達成できそう」と見通し、20年度には数量シェア80%を達成できるのではないかとの見方を示した。
「25年に向け、薬剤師も変わらないといけない」と行動を促し、後発品のさらなる普及へ「2080運動」を展開していく考えを強調した。