■服用歴管理、非加算が激減
2015年度の新人薬剤師の確保は例年以上に厳しくなっているようだ。本紙が例年行っている「全国保険薬局調査」によると、15年度に新卒薬剤師の「採用予定がある」のは6%(前回12%)と10%を切った。前々回調査(16%)からは10ポイントも減少している。また、今年度の採用(配属)についても、「採用あり」は7%(前回8%、前々回12%)と漸減傾向にある。また、14年度診療報酬改正前に薬剤服用歴管理指導料の算定割合が「90%以上」と回答した割合は60%から10月時点で30%に激減、後発医薬品調剤体制加算についても非加算が33%から41%に増加し、加算の算定ができない施設が増えていることなどが明らかになった(4~5面に関連記事)
調査は全国の保険薬局から無作為に抽出した3000軒に実施、393軒から有効な回答が得られた。今年度は6年制薬剤師が誕生して3年目となったが、合格者数、合格率ともに大きく低下。その一方で保険薬局数はここに来て増加に転じ、全国で5万7000軒余を数えるに至っている。加えて、従来は採用が少なかった病院でも病棟薬剤業務実施加算(業務)への取り組みなどを反映し、求人が増加したこともあり、例年以上に人材確保が厳しかったようだ。
調査でも採用できたとした薬局は7・3%であり、前回の8・4%、前々回の12・2%と比べ年々、新人採用が厳しい状況に至っている。採用実績も一部の薬局を除けば、採用した薬局のほとんどがようやく「1人確保できた」といった状況だ。
また、この春に向けた採用予定についても「予定あり」は前回の12・2%を大きく下回る6・4%に過ぎず、3年前の16・3%に比べると半減以下といえる。初任給の予定は、回答数は少ないものの27万1538円(前回27万0806円)で、この3年間に限って見ても漸増状況にある。
一方、診療報酬改定による影響を探った。薬剤服用歴管理指導料(41点)の算定割合を「50%未満」から10ポイントずつ刻み「90%以上」までの6段階で聞いた。3月末時点では「90%以上」が59・8%と最も多かったが、10月現在では30・4%に下がり、かつ特例「34点」が平均25・5%に達した。昨年4月以降の状況を聞いた本紙「全国保険薬局緊急調査」でも、4月以降は27・4%と、かつての高止まりは崩壊し、“特例”設置等の影響は少なくない。
後発医薬品調剤体制加算の改定により、加算1~3が加算1(18点)、2(22点)へと整理されたが、旧体制で非加算32・5%であったものが、10月現在では40・5%へ増加した。緊急調査では非加算が51・5%と3月末に比べ25ポイントの差があった。したがって改定直後は大きく落ち込んだが、以後、少しは回復している可能性がうかがえる。
また、「薬局のグランドデザイン2014」(中間まとめ)は前執行部が任期ギリギリで発表したが、77%がその存在を知らないことが明らかになった。「知っている」との回答者による評価としては「良い」は15%、8割以上が「どちらとも言えない」とした。さらに電子処方箋の導入は1割が「望む」としたが、3割は「望まない」と回答している。