尋常性乾癬および関節症性乾癬の治療薬として
ノバルティス ファーマ株式会社は2014年12月26日、尋常性乾癬および関節症性乾癬の治療薬として、「コセンティクス(R)皮下注用150mg/同皮下注150mgシリンジ」(一般名:セクキヌマブ(遺伝子組換え))の製造販売承認を、世界で初めて取得したと発表した。今後はマルホ株式会社と共同で、同製品のプロモーションを開始する予定としている。
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同剤は、2014年10月に米国のFDA諮問委員会が全身療法または光線療法の対象となりうる成人患者における中等症または重症の尋常性乾癬の治療薬として、また同年11月には欧州のCHMPが全身療法の対象となる中等症から重症の成人尋常性乾癬の第一選択薬として、承認勧告を採択している。
炎症を抑制するヒト型抗ヒトIL-17Aモノクローナル抗体
国内では2010年から乾癬に対して生物学的製剤の使用が可能となり、治療の幅が広がったものの、中等症から重症の乾癬患者の治療の満足度は、未だ50%に留まっている。その理由として効果発現までの時間がかかること、ほぼ寛解(PASI 90反応)が得られないこと、あるいは効果が長期に持続しないことなどが報告されているという。
また、関節症性乾癬は、皮膚症状に加えて全身の関節に腫れと痛みを伴う炎症、こわばり、変形などの関節症状が現れる。約60%の患者が乾癬の皮膚症状が先行するもので、残り40%はそれぞれ20%ずつが関節症状先行型と、皮膚および関節症状が同時に見られる場合と言われている。この関節症性乾癬は、日本では、乾癬患者の3.3%と言われており、25~30歳に発症しやすいとされる。また、この患者の関節の変形は不可逆性であり、早期から炎症の徹底した治療が必要とされている。
今回承認されたコセンティクスは、ヒト型抗ヒトインターロイキン-17A(IL-17A)モノクローナル抗体。IL-17Aは、乾癬の発症および維持に中心的な役割を果たすと考えられている炎症性サイトカインであり、この疾患に罹患した患者の皮膚に高い濃度で存在する。同剤は選択的にIL-17Aに結合し、IL-17Aの生物活性を中和することで、皮膚および関節の炎症を抑制すると考えられている。
ノバルティスは、世界で初めて承認された新規作用機序を有する同剤が、尋常性乾癬および関節症性乾癬の患者の新たな治療選択肢となると期待している。(遠藤るりこ)
▼外部リンク
・ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリース