在宅患者訪問薬剤管理指導料は、通院が困難なため、在宅で療養を行っている患者に対して、訪問薬剤管理指導を行った薬局などを評価するための点数。
今年4月の診療報酬改定では、同一建物に居住する患者に対しては、保険薬剤師1人につき1日5回に限り算定できるとされ、算定回数に制限を設けた。
また、個人宅を訪問した場合の点数を現行の500点から650点に引き上げて評価する一方、同一建物については現行の350点から300点に引き下げ、適正化も図られた。
厚労省が見直し後の訪問薬剤管理指導の実施状況を把握するため、在宅患者調剤加算の届出を行っている保険薬局1000施設(回答数601施設)を対象に在宅で薬学的管理および指導を行った総患者数、延べ日数、患者1人当たりの訪問時間などを調査した。
総患者数は、改定前の今年3月時点の平均値が31・4人だったのに対し、改定後の今年7月が31・7人とほとんど変化は見られなかった。
薬学的管理・指導を行った延べ日数の平均値も23・3日から改定後に24・1日にやや伸びたほか、患者1人当たりのベッドサイド業務時間も、同一建物以外の場合で20・7分から20・8分、同一建物で16・7分から17・2分に若干伸びたが、大きな変化はなかった。
在宅に取り組むほとんどの薬局は、介護保険が適用される患者を対象に業務を行っており、算定回数に制限が設けられていない介護保険の「居宅療養管理指導費」などを算定しているケースが多く、医療保険の在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している薬局数は少ないのが現状。
また、在宅患者訪問薬剤管理指導料では、患者宅を訪問するケースが8割を超えており、同一建物の算定回数制限や点数の適正化を行った後もほとんど変化がなかったと見られる。
この日の中医協では、これらの結果を踏まえ、次期診療報酬改定に向けてさらに検討を進めていくことを確認した。