日本病院薬剤師会は、病院薬剤師業務に「医薬品リスク管理計画」(RMP)の活用を求める提言を公表した。RMPは、必ずしも医療現場向けの記述になっていないことから、「医療現場の薬剤師には分かりにくい」と指摘しながらも、薬学的患者ケアや院内適正使用策の立案、実践に活用できる新たな情報源とし、積極的な活用を求めた。
RMPは、安全性検討事項、医薬品安全性監視活動、リスク最小化活動の要素で構成されるが、製薬企業の立場で作られる文書のため、リスク最小化活動として、「添付文書に記載して注意喚起」「市販直後調査を通じた情報提供」等の記載が多く見られ、必ずしも医療現場向けの記述になっていなかった。
また、これまで多くの医療機関では、医師、薬剤師の協議に基づき、治療方針を踏まえて作成した医薬品情報提供書を使って情報提供を行っており、製薬企業が作成した患者向け資材の活用は必須ではなかった。
ただ、RMPで追加のリスク最小化策と定められた患者向け資材は、厚生労働省等の当局指導の下、製薬企業の責任で作った資材と位置づけられていることから、「積極的に活用することを考慮すべき」とした。
薬剤師法25条の2では、「必要な情報を提供し、および必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない」とされ、RMPに規定された重要な特定されたリスクは、薬学的に重要な知見の一つとし、リスクを最小化するための患者向け資材の活用は有効とした。
その上で、医療現場でのRMPの活用について、重要な特定されたリスクに関連した「追加の安全性監視活動」について、薬剤師業務でも同活動で指定された集団を重点的な副作用モニタリング対象と位置づけ、薬学的患者ケアを実践することも一つと提言した。