■地域医師会の理解も前提
日本医師会と日本薬剤師会は17日、都内で記者会見し、薬局で血糖測定等の簡易検査を行う場合、地域医師会、かかりつけ医の十分な理解と指導のもと、「検体測定室に関するガイドライン」を遵守して実施することで合意したと発表した。検体測定室をめぐって生じていた混乱を整理するため、日医と日薬が協議した結果、医師と薬剤師の協力により、薬局での簡易検査を実施していくことを両者の合意で明確にした。

4月に臨床検査技師法の告示が改正され、薬局で血糖測定等の簡易検査が可能となり、厚生労働省の2014年度予算事業「薬局・薬剤師を活用した健康情報拠点の推進」を活用し、全国の自治体でも検体測定室の取り組みが進められるようになった。ただ、日医が採血を行う検査に反対を表明したことから、薬局での簡易検査をどこまで認めるかをめぐって混乱が生じていた。
こうした状況を解消するため、日医と日薬が協議を重ねた結果、検査は原則として医療機関で行うこと、薬局等で自己採血検査を行う場合には「検体測定室に関するガイドライン」を遵守すること、健康情報拠点の推進事業も地域医師会、かかりつけ医の十分な理解と適切な指導のもとに行うこと――等で合意した。
日医の横倉義武会長は、「侵襲性の伴う自己採血は、病原性ウイルス等への感染の恐れがあるため、規制が必要」と慎重な対応を求めつつ、かかりつけ医や地域医師会の理解を得て、ガイドラインを遵守すれば薬局での簡易検査を認める考えを明らかにした。
一方、日薬の山本信夫会長は、「最近、薬局薬剤師がしっかり担うべき役割を果たしているのかという批判も少なくない」と指摘。「薬局薬剤師の担う役割は、医薬品や医療材料の供給を通じて医療に参画し、国民の健康を守るのが本来的な姿」とし、厚労省の予算事業も医薬品の供給体制の確立が目的と強調した。
その上で、薬局で血糖測定等を行う検体測定室の取り組みを実施する場合について、「事前に準備を十分に行い、かつ慎重に進め、かかりつけ医と地域医師会の十分な理解と適切な指導を受けながら進めていきたい」との姿勢を示した。
日薬としては、検体測定室の取り組みについて「薬剤師の本来の役割かどうか考える必要がある。本来やるべき医薬品の供給体制を確立していくことが先であり、今のところ、まず検体測定室ありきの対応をするつもりはない」との考えを述べ、推進していくことには慎重な姿勢を示した。