肝炎の早期発見・早期治療、給付金支給のために
厚生労働省は12月16日、平成25年度に実施したフィブリノゲン製剤納入医療機関への書面調査の結果をホームページに公表した。
フィブリノゲン製剤は、かつては大量出血時の止血等の目的で、特に昭和63年6月以前は多くの医療機関で用いられていた。しかし当時、原料に混入した肝炎ウイルスを不活性化するための技術が十分でなかったことから、平成6年以前に同製剤を投与した人は、肝炎ウイルスに感染している可能性が他の人より高いと考えられる。
そのため同省は平成19年11月、フィブリノゲン製剤の納入実績のある医療機関に対して、平成6年以前の診療録等による製剤投与事実の確認、及び製剤投与が判明した人への受診勧奨について、書面により協力を依頼。それと共に状況調査を行い、調査結果を厚生労働省のホームページに公表していた。
今回は、医療機関においてまだ確認がされていない診療録等を出来る限り精査すると共に、診療録等の確認状況や製剤投与者の判明状況等を把握するため、昨年10月に調査を実施。フィブリノゲン製剤を投与された人やその遺族に、医療機関を通じて投与事実を通知することにより、肝炎の早期発見・早期治療、及び「特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第9因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法」に基づく給付金の支給に繋げていきたい考えだ。
新たな製剤投与者が1,009名判明
今回の調査は、フィブリノゲン製剤納入医療機関のうち、所在地不明等を除いた5,677の医療機関を対象に実施。12月15日時点で4,119施設から回答を得た(回答は現在も受付中)。
過去の調査では「投与判明者なし」と回答していた施設のうち、今回の書面調査で初めて「フィブリノゲン製剤を投与されたことが判明した方」がいると回答のあった医療機関が155施設あり、これらの施設から新たに製剤投与が判明した人が1,009人いたという。
その他、医療機関ごとの診療録等の保管状況や精査状況等の情報は、厚生労働省サイト内の「公表医療機関等一覧」の情報を更新する形で公表していくとしている。(横山香織)
▼外部リンク
・厚生労働省 報道発表資料
・C型肝炎ウイルス検査受診の呼びかけ(フィブリノゲン製剤納入先医療機関名の再公表について)