米国血液学会の抗血栓療法:抗凝固療法セッションで発表
米国ブリストル・マイヤーズスクイブ社とファイザー社は12月8日、健康被験者において、4因子含有プロトロンビン複合体製剤(PCC)によるエリキュース(R)(一般名:アピキサバン)の抗凝固作用の中和効果を評価する初の臨床試験結果を発表した。この試験結果は、第56回米国血液学会(ASH)年次会議の抗血栓療法:抗凝固療法セッションで報告されている。
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同剤は、ブリストル・マイヤーズスクイブ社によって開発された選択的第Xa因子阻害剤の経口薬。主要な血液凝固タンパク質である第Xa因子を阻害することにより、トロンビンの生成と血栓の形成を抑制する働きがある。
これまでに行われた7件の第3相臨床試験の結果に基づき、米国では複数の適応症が承認されている。日本では、「非弁膜症性心房細動(NVAF)患者における脳卒中と全身性塞栓症の発症抑制」を適応として承認されている。2007年に、ファイザー社とブリストル・マイヤーズスクイブ社は、同剤の開発および販売に関し、世界的な提携契約を締結している。
PCCの使用に関し、肯定的な試験結果を確認
今回、健康被験者における同剤の薬理作用および薬物動態に対して、Sanquin社のCofact(ヘパリン・フリー製剤)と、CSLベーリング社のBeriplexP/N(ヘパリン含有製剤)の、2種の非活性化4因子含有PCCの作用について評価が行われた。
同試験は、健康成人被験者(平均年齢33±7歳)の15例を対象としたオープンラベル・ランダム化・プラセボ対照・3期クロスオーバー試験であった。被験者は、各期にエリキュース10mgを1日2回投与されたという。そして、第4日目(定常状態到達後)の、エリキュース投与3時間後に、30分間にわたり、体重1kgあたり50IUのCofactまたはBeriplexP/Nの4因子含有PCC、あるいは生理的食塩水のいずれかの投与を受けた。その後11日間の休薬期間を挟み、別の試験薬が投与された。
結果として、内因性トロンビン活性(ETP)を含む複数の血液凝固分析において、2種のどちらのPCCでも、エリキュースの定常状態での薬理作用が中和されたとしている。また、PCCを投与したかどうかを問わず、エリキュースの投与に関連した重篤な有害事象、出血関連イベント、または血栓症の徴候は報告されなかったという。この試験結果から、抗凝固作用を中和する必要の生じた同剤投与患者の管理におけるPCCについて、さらなる評価を行うことが支持されるとしている。(遠藤るりこ)
▼外部リンク
・ファイザー株式会社 プレスリリース