新規DNRI製剤による症状への改善効果を確認
大日本住友製薬株式会社は12月12日、同社の米子会社であるサノビオン・ファーマシューティカルズ・インクが、米国時間の12月9日にアリゾナ州フェニックスで開催された第53回米国神経精神薬理学会(ACNP)年次総会において、注意欠如・多動症(ADHD)治療剤として開発中のdasotralineの第2相臨床試験結果をポスター発表したと報告した。
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dasotralineは、サノビオン社の自社開発品であり、ドーパミンおよびノルエピネフリンの再取り込みを阻害する新規のDNRI。1 日1回投与の長時間作用型の製剤であり、安定した血中濃度が一日中持続するため、高い有効性を長時間維持することが期待されている。今回の試験において、同剤による成人のADHD患者の症状への改善効果が示されたという。
成人患者への第3相試験、小児患者への第1相試験も実施中
同試験は、成人のADHD患者341例を対象に、dasotraline 4mg/日、8mg/日、プラセボを4週間投与したときの有効性および安全性を比較することを目的とした無作為化二重盲検比較試験。この結果、同剤8mg投与群では、主要評価項目である投与4週間後のADHD RS-IV(ADHD Rating Scale-IV)総スコアにおけるベースラインからの平均変化量において、プラセボ投与群と比較し統計学的に有意な改善(-13.9 vs-9.7;P=0.019)を示したという。
また、ADHD RS-IV不注意サブスケールスコアのベースラインからの平均変化量(-8.0vs-5.6; P=0.016)およびADHD RS-IV多動性-衝動性サブスケールスコアのベースラインからの平均変化量(-5.9vs-4.1; P=0.027)においてもそれぞれ、プラセボ投与群と比較し統計学的に有意な改善を示したとしている。サイトーシスによって細胞膜から取り込まれるというモデルの提案に至ったとしている。
さらに、同剤4mg投与群でも、ADHD RS-IV総スコアにおけるベースラインからの平均変化量(-12.4 vs-9.7;P=0.076)およびADHD RS-IVのサブスケールスコアともに改善傾向を示したという。投与中止に至った主な有害事象の4mg、8mg、プラセボ各投与群での発現率は、不眠(2.6%、10.8%、0%)、不安(2.6%、1.8%、0%)およびパニック発作(0%、2.7%、0%)。
サノビオン社はこの結果を踏まえ、米国における成人のADHD患者に対する第3相臨床試験を実施中であり、これらの結果を新薬承認申請資料に含める予定。また、小児のADHD患者に対する第1相臨床試験も実施中としている。(横山香織)
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・大日本住友製薬株式会社 ニュースリリース