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東京慈恵会医科大学、「不適切データで誤った結論」最終報告書を発表―元教授のイベント数操作

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2014年12月17日 AM10:00

東京慈恵会医科大学は12日、元循環器内科の望月正武教授の研究グループが実施した降圧剤バルサルタンの医師主導臨床研究「Jikei Heart Study」に関し、追加調査を行った結果、非バルサルタン群にイベント報告が多くなるよう意図的操作がなされた可能性も存在するとし、「不適切なデータから誤った結論が導かれている」と結論付ける最終報告書を発表した。これを受け同大は、研究責任者だった望月正武元教授の客員教授待遇を取り消す。

同研究は、バルサルタン群で脳卒中や心筋梗塞などのイベント発生数が少なかったとの成果を英ランセット誌に論文掲載したが、エンドポイントの採用方法や血圧値の標準偏差などに疑義が示された。これを受けた同大の調査委員会による中間報告では、血圧値のデータについては人為的に操作が行われたとしたが、イベントデータについては「人為的な操作が行われたとは考えられない」と結論付けていた。

今回、追加調査が行われ、新たに神戸CNSから医局に送られていた集計データのうち、研究終了に近い2006年1月時点の大学保有データ、論文作成に用いられたと考えられる大学保有データのイベントデータを検証した。その結果、医師のイベント報告数は833件、報告割合の平均は、バルサルタン群47%、非バルサルタン群53%だった。

論文作成に用いられたと考えられる大学保有データのイベントを登録医師別に調べたところ、望月元教授の偏りは大きく、バルサルタン群9件に対し、非バルサルタン群が90件であり、明らかに非バルサルタン群に多く登録されていた。他の参加医師のイベント数はバルサルタン群84件に対し、非バルサルタン群84件と両群で差はなく、この結果からランセット論文の結果は導けないことが判明した。

これらの事実から、調査委は、イベントデータの信憑性について、イベントの採択をエンドポイント委員会の判断に任せると考えた望月元教授のイベント報告が、結果として多く採択され、「最終データとして非バルサルタン群に不利に働く結果を導いていた」と結論付けた。

さらに、望月元教授のイベント報告が他の参加医師と比べて頻度が高く、大きな偏りが見られたことを問題と指摘。「ねつ造、虚偽報告があったと断定はできない」としながらも、「望月元教授の非バルサルタン群におけるイベント報告が多く採用されるように意図的操作がなされた可能性も存在し、不適切なデータから誤った結論が導かれている」と結論付け、研究統括責任者としての望月元教授の責任は大きいと断じた。

最終報告を受け同大は、望月元教授の客員教授待遇を取り消し、論文作成に関わった主な教員を厳重注意処分とすることを発表した。

 

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