注目のACE910の試験結果を初めて公開
中外製薬株式会社は12月8日、血友病Aを対象として開発中の抗factor IXa x 抗factor Xヒト化二重特異性抗体「ACE910」に関し、米国・サンフランシスコで開催中の第56回米国血液学会総会(The American Society of Hematology)において、第1相臨床試験の成績を発表した。同社がバイスペシフィック抗体の試験結果を公開するのはこれが初めてとなる。
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同試験は、血液凝固第VIII因子に対するインヒビター保有/非保有の日本人の血友病A患者を対象に、ACE910の安全性と、出血を抑制するための予防投与の探索的な効果を検討することを目的とした初めての試験。同剤の3用量について、週1回の皮下投与により用量を漸増して12週間投与を行ったオープンラベル試験だ。
血友病A患者に対し、顕著な血液抑制効果を確認
発表によると、有効性については、12週間のACE910の投与により、インヒビターの有無に関わらず、各コホートにおいて顕著な出血抑制効果が認められたという。そのうち、ACE910投与期間中に全く出血を認めなかった症例も13例あり、投与前後の年間出血頻度の平均値も、すべてのコホートで減少したとしている。
安全性については、臨床上問題となる過凝固を示唆する臨床検査値の異常や臨床所見は全てのコホートにおいて認められず、投与期間中の出血に対して第VIII因子製剤もしくはバイパス製剤を用いたオンデマンド治療が併用された症例においても、過凝固に関わる有害事象は認められなかったという。2例で中等度の上気道感染、頭痛を認めたが、その他の有害事象は全て軽度。また、注射部位紅斑が発現したためにACE910の投与の中止が1例あったものの、重症度は軽度だったという。なお、12週間の投与期間中に抗ACE910抗体の発現は認められていないとのことだ。(横山香織)
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・中外製薬株式会社 ニュースリリース