電池交換無しで連続7日間の心電波形伝送が可能
東北大学は12月8日、株式会社イメージワン、株式会社リアルデザインと共同で、7日間連続リアルタイム転送を可能にしたテレメトリー式心電計「duranta(R)(デュランタ(R))(医療機器認証番号:226AIBZX00055000)」の開発と製品化に成功したことを発表した。
画像はduranta(デュランタ)ホームページより
これは、科学技術振興機構の復興促進プログラムの支援を受けた事業の一環で、東北大学サイバーサイエンスセンター先端情報技術研究部の吉澤誠教授と、仙台市に本社を持つリアルデザインの研究開発チームによる成果である。
慢性期医療において、医療施設を要しない在宅医療の充実は、今後の医療を見据えた有力な選択肢として注目されている。しかし在宅医療の現場では、緊急時連絡は患者家族からの連絡によるもので、医師などの医療従事者が患者のバイタルデータを簡便かつ正確にリアルタイムで客観的に把握する手段が不足しているのが現状だ。
医師不足や高齢化など医療過疎地域の在宅医療の質を向上
このような課題の解決のため、同開発チームは、東北大学が持つ植込み型除細動器のためのソフトウェア技術を応用し、電池交換無しで連続7日間の心電波形伝送が可能な小型心電計を開発。医療従事者は、durantaから伝送された心電波形を、スマートフォンを通じてインターネットから、いつでもどこでもリアルタイムに確認することができる。また心拍の異常時には、アラームを表示画面やメールで通報する機能もあるという。
特に被災地を中心とした東北沿岸地域では、病院や医師の不足している状況に加えて、高齢者の割合が高く、病院までの交通手段が少ないため、在宅医療のニーズが増加。同地区での実証実験では、患者と家族、医療従事者の三者が、心電図を見ながら容態を確認する「コミュニケーションツール」として、有効な効果を得ることができたそうだ。
なおイメージワンは、12月12日から同製品の販売を開始。国内では、被災地を中心とした東北地域沿岸をはじめとして、高齢化社会の進行に伴いニーズが高まっている在宅医療・介護福祉分野事業を立ち上げ、地域包括ケアなどに取り組むという。また、欧州各国でのサービス提供や、台湾での試験運用など、海外での事業展開も予定されている。(横山香織)