再発性MSの治療薬、PPMSでプラセボとの有意差認められず
米ノバルティス社は12月1日、一次性進行型多発性硬化症(PPMS)の患者を対象にした第3相試験であるINFORMS試験で、身体障害度の複合評価指標において、フィンゴリモドを投与した患者と、プラセボを投与した患者との間に有意差が認められなかったと発表した。
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PPMSは多発性硬化症(MS)の他の病型とは異なる病態を示す疾患であり、身体障害(神経損傷)の進行に対して抑制効果を有する承認された治療薬はないのが現状だ。
MS専門医と協力し、新しい治療選択肢の研究と開発を進める
ノバルティス ファーマのグローバル開発部門責任者であるヴァサント・ナラシンハン氏はプレスリリースで、
「PPMSの患者さん、および治療に関わっている先生にとって、今回のニュースは非常に残念なものであると考えています。私たちは、MS専門医と協力して、PPMSの理解を深めるためにINFORMS試験結果の詳細なレビューと解析を進めて参ります。フィンゴリモドは、初めての経口投与が可能な疾患修飾性治療薬として、再発性MSの治療に変革をもたらしました。当社は、今後もMSなどの神経学的疾患に対する新しい治療選択肢の研究と開発に尽力してまいります」
と述べている。
フィンゴリモド(商品名:「ジレニア(R)」は、ノバルティス社が田辺三菱製薬株式会社から技術導入した薬剤。海外ではノバルティス社が単独で、国内ではノバルティス ファーマ株式会社と田辺三菱製薬が共同で開発をし、2011年11月からMS治療薬として販売している。効能・効果は「多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制」。
なお、日本においては現在、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の患者を対象としたフィンゴリモドの第3相臨床試験を実施中である。(大場真代)
▼外部リンク
・ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリース