プラズマブラストが制御性B細胞として炎症を抑制
大阪大学は12月5日、抑制性サイトカインであるインターロイキン-10 (IL-10)がプラズマブラストと呼ばれるB細胞集団から分泌され、多発性硬化症の悪化を抑制することを解明したと発表した。
画像はプレスリリースより
この研究結果は、同大免疫学フロンティア研究センターの松本真典助教、馬場義裕准教授、黒崎知博教授ら研究グループによるもの。IL-10を産生するプラズマブラストはB細胞から分化誘導され、樹状細胞の機能を阻害することにより、脳脊髄炎の悪化を抑制していることが明らかになったという。
ヒトのB細胞においても重要な役割を果たしていることを示唆
近年、IL-10を産生するB細胞は「制御性B細胞」と呼ばれ、多発性硬化症のマウス実験モデルである脳脊髄炎を抑制することが報告されている。しかし、その制御性B細胞がどのB細胞集団に分類され、どのようなメカニズムを介して脳脊髄炎を抑制しているかは不明だった。
今回の研究では、ヒトのB細胞においてもプラズマブラストが主要なIL-10産生B細胞であるかを検討。健常人の末梢血から単離したB細胞をプラズマブラストに分化誘導したところ、プラズマブラストのみが特異的にIL-10を産生していた。これにより、ヒトにおいてもプラズマブラストがIL-10を産生する制御性B細胞として、多発性硬化症の抑制に重要な役割を果たしている可能性が示されたという。
これらの結果に基づき、IL-10を産生するプラズマブラストの分化を人為的に制御することができれば、多発性硬化症に対する新たな治療法の開発につながるものと期待がもたれている。(大場真代)
▼外部リンク
・大阪大学 リソウ(研究情報)