日本薬学教育学会準備委員長の笹津備規氏(東京薬科大学学長)は、「一義的には薬学教育に関する研究活動のついて学会発表、論文発表の場を設ける。また、学会であり個人参加が基本だが機関・団体会員も求めたい。サイエンスとしての薬学教育を推進したい」とし、学会設立に向けての理解と支援を求めた。
市川厚会長(武庫川女子大学教授)も「さらに薬学を発展させるためにも、薬学教育学という分野を作り上げ、後世に残していくことが必要」と賛同を促し、参加者の賛同、理解が得られたことから、同学会準備委員会が正式にスタートを切ることになった。
一方、文部科学省の丸岡充医学教育課薬学教育専門官は、「薬学部がない地域では誰が薬剤師を育てているのか。ふるさと実習を進めるべき」との考えを示した。薬学部のない自治体での学生実習が非常に少ない状況をデータで示し、「問題は薬学部のない県は足りないとき、他の県が育ててくれればいいが、自分のところで育てようということがないのが心配される」との危惧も示した。
これに対し、出席者から「その意図」を問う質問もあったが、「良い教育を行うことが基本。ただ、大学として社会の要望に応えていくことも重要だ。今日はふるさと実習という項目を挙げた」とし、大学が持つ社会的な責務、義務についても配慮を求めた。
一方、厚生労働省医薬食品局の田宮憲一総務医薬情報室長は薬剤師国家試験の日程に触れ、「他の医療関連職種(の試験日程)との兼ね合いもあり、この数年1日ずつ早めてきた。第101回の日程はまだ明らかになってはいないが、可能であればもう1日前倒しをしたいと考えている。ただ、教育スケジュールとの関係もあり、できるだけ早くしたい」と、他の医療職に合わせたいとの意図を示した。
関連して、次回からは合格発表において出願者数も明示することや、カンニング等不正があった場合には、「少なくとも次回の受験は認めない。悪質性に応じて受験ができない期間は決まってくるかと思う」とし、学生への徹底を求めた。
また、前回国試の結果が良くなかったことから、薬剤師不足を訴える声や試験内容への要望があることを踏まえ、「日本では欧米に比べ薬剤師が多い。一時的なことではなく、慎重に議論していく必要がある。一部経営サイドの方から、国試の救済措置的な視点から調剤補助を求める声も聞かれるが、まずは、しっかりと社会ニーズに応える薬剤師を輩出していくことをお願いしたい」と、本末転倒の考えを一蹴した。
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