厚生労働省の検討会は11月28日、サリドマイドおよびレナリドミドの安全管理手順に関する報告書を取りまとめた。これまで製薬企業に確認を義務づけていた氏名、住所などの個人情報を原則不要とし、医療機関は、患者が安全管理手順を遵守しているかどうかの確認を企業を介さずに行えるように見直した。同報告書は、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会に報告する。
両剤は強い催奇形性を有するため、胎児への薬剤曝露の防止を目的とした厳しい管理手順の実施が医療機関や薬局、企業に義務づけられており、患者本人に対しても妊娠回避の徹底が求められている。
しかし、現行の管理手順では「個人情報の取り扱い」「遵守状況の確認方法」等で医療従事者の負担が大きいとの見方もあり、「サリドマイドおよびレナリドミドの安全管理に関する検討会」で見直しが議論されていた。
報告書では、これまで企業側に求めていた患者の氏名や生年月日、住所、電話番号などの登録を原則不要とし、個人情報の登録を必要最低限にした。その上で、患者が転院した場合などに発生する情報の二重登録に対しても、服用経験の確認や医療機関間での情報共有、単一登録番号の活用などで対応することが適当との見解を示した。
これまで、一律に設置するように求めてきた服薬を支援する「薬剤管理者」についても、患者家族の負担を考慮し、患者の状況に応じて処方医がその要否を判断することが妥当であるとし、企業側にも薬剤管理者の情報登録を不要にした。
処方時に行う患者への遵守状況の確認では、処方医が患者の管理手順に対する理解や遵守状況を確認して記入する方法と、定期的に患者自身で確認票を記入し、その内容を処方医が確認するといった、医療機関が企業を介さない二つの手順案を提示し、状況に応じて使い分けることができるようにした。
企業には、医療機関が提出した患者の「遵守状況確認票」を点検すると共に、担当者を医療機関へ訪問させ、主体的に安全管理手順実施状況のモニタリング体制の整備も求めた。
そのほか、検討会では妊娠回避へのリスク区分が一律化されている男性患者への遵守状況の説明・確認について、細分化すべきかどうかなどが今後の課題として挙がった。