■大学特許収入 初の20億円台
調査は、全国の大学等1073機関を対象に、昨年度に行われた民間企業との共同研究や受託研究、治験実績、発明状況等、産学連携の実施状況をまとめたもの。その結果、治験や特許権実施料収入等、民間企業からの研究資金の受け入れ額は、約695億円と前年度に比べて67億円(10・6%)増加し、過去最高額となった。共同研究で390億円、治験等で172億円の受け入れ額があった。
民間企業との共同研究費の受け入れ額も、約390億円と前年度に比べて約49億円(14・3%)増加し、過去最高額となった。共同研究の実施件数は1万7881件と、956件(5・6%)増加した。
ただ、民間企業との共同研究に伴う1件当たりの研究費の受け入れ額を見ると、約218億円と5年前と同水準にとどまった。共同研究全体の研究費受け入れ額は、前年度に比べて大幅に増加しているものの、1件当たりの受け入れ額はそれほど増えていないことが判明。産学連携活動の課題が浮かび上がった。
民間企業からの受託研究実施件数は6677件と、前年度に比べて519件(8・4%)、それに伴う研究費の受け入れ額は約105億円と9億円増加した。受託研究全体で見ると、相手先として民間企業は約105億円と、全体の6・2%にとどまり、受託研究の民間からの研究費は少ないことが分かった。治験等による受け入れ額は、約192億円と前年度に比べて7億円増えた。
特許出願件数は、国内、外国合わせて9303件と前年度に比べて199件、そのうち外国特許出願件数は2698件と111件増加した。分野別に見ると、製薬等のライフサイエンス分野で2964件の特許出願があった。
また、特許保有件数は、国内と外国合わせて2万5945件と、前年度に比べて6120件、30・9%も増加する等、急激に伸びている状況が明らかになった。文科省は、04年度の国立大学法人化以降、特許出願したものが権利化されてきたと分析している。
さらに、特許権の実施件数は9856件、特許権実施料収入は約22・1億円と、前年度に比べて6・5億円(42・0%)増加。初めて20億円を突破して過去最高額となった。