厚生労働省の検討会は26日、未承認・適応外の医薬品等を用いたり、広告に用いることが想定される臨床研究に法規制が必要と結論づける報告書案を大筋で了承した。ディオバン事件のような不正を防ぐため、既承認薬を広告に用いる目的で企画したり、好結果が得られた場合、広告に使うと想定される臨床研究に何らかの規制が必要と判断した。厚労省は、内閣法制局と協議の上、政府与党との調整を経て、来年の国会に法案を提出する予定。
報告書案では、臨床研究の不適正事案が判明した場合、現行制度では限界があるとし、未承認・適応外薬等を用いた臨床研究、広告に用いられると想定される臨床研究に法規制が必要と結論づけた。
事前に広告に使うため臨床研究を企画するか、好結果を受け事後に利用するかにかかわらず、何らかの法規制の必要があると判断。ただ、法規制の契機となったディオバン事案は「広告目的か判断が難しい」(厚労省)とし、広告目的かがあいまいな臨床研究への対応は今後の検討課題とした。
医療用医薬品の広告については、業界団体の自主規範を見直し、製薬企業や業界団体の広告審査の枠組み作りを進めると共に、行政機関による監視・指導体制の強化を図ることが妥当とした。
倫理審査委員会については、まず具備すべき委員構成等の要件を設定するなど質を確保するための方策検討が必要とし、不適正事案への対応を含め研究の途中段階でも必要な関与を行うべきとした。また、実施基準はICH‐GCPを求める一方、モニタリングと監査は製薬企業が行う治験と同様ではなく、リスクに応じた適切な方法を検討すべきとした。
なお、法案は医療法、医薬品医療機器等法に規定するか、新法とするかは未定としている。