一般薬の医療費控除については、現在、厚労省は2015年度の税制改正要望で、一般薬を年間2万5000円以上購入した世帯に対し、最大50万円までを所得控除の対象とする制度の創設を求めている。今別府氏は、医療費控除が電子申請など簡略化されている部分があるものの「税制業務上、かなりの窓口負担となる」と指摘。また、来年度の税制改革では、「実現するかどうかは明るい見通しは立っていない」とした。
一方で、医療費控除利用者が増加する中、将来的な金額の引き上げや対象者を減らすというタイミングで「一般薬の医療費控除が成立し得るだろう」との考えを示した。
また、遺伝子検査については、大手企業が参入して価格が安くなり一般化することに対する問題意識として、「まだ中身が確立していないデータだと思っている。医療番号制度の会議でも、遺伝子データを企業が持つことで、将来どのように使われるのか。どうプライバシーを保護するのか医師会からも問題提起がされている。中長期の課題として対応が必要になると思う」とし、一定の規制が必要との認識を示した。
また、今春の薬剤師国家試験の合格率については、「実際に下がった数字で関係者に事前了解をとろうとした時に、『こんな数字で大丈夫か』『もう少し増やせないのか』『もう一度秋にしたらどうか』との議論があった」と説明。一方で、「薬剤師国家試験は、絶対評価として7割とれないと駄目という試験を実施している。このため問題水準が維持される。6年制の過渡期でもあり、(合格率が)下がったが、あえて補正を行わなかった」とした。また、来年の国家試験についても準備段階にあるが、「問題で水準を落とす必要はないと言い伝えている。学生も教官も今年の反省を踏まえ、対応を探るだろう」と見通した。
今年6月に施行された改正薬事法では、ネット販売の可否で専門性が議論となったが、「虚心坦懐に専門家の議論にお任せした。医療用から一般用に移行した直後の医薬品は対面で販売するという専門家の見解を尊重した」との経緯を語った。