老化と共に低下してくる記憶力。家の鍵をどこにおいたか忘れたり、車を止めた場所をとっさに思い出せなかったり、最近知り合いになった人の名前が覚えられなかったり・・・。こういう症状は、50代、60代頃になって始まるのかと思っていましたが、実は青年期から始まっているのだそうです。
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記憶は、脳の歯状回という部分が関連しています。今回、アメリカ・コロンビア大学メディカルセンターがおこなったマウスを対象にした研究で、ココアから抽出したフラバノールが歯状回の働きを良くすることが分かりました。
この研究では、50歳から69歳の健康な人たちを2つのグループに分け、一方はフラバノールを1日900mg、もう一方にはフラバノールを10mg、3か月にわたって摂取してもらいました。
そして、対象者の脳の画像診断と記憶力のテストを行って、フラバノールが記憶の働きにどの程度影響を及ぼすかを分析しました。すると、900mgのフラバノールを摂取していた人たちの脳では、歯状回の働きが良くなっていることが分かったのです。
その効果は驚くべきもので、試験開始時の脳の状態を60歳程度と考えると、1日900mgのフラバノールを摂った人の3か月後の歯状回は、30代から40代の人と同じくらいの働きをしていたそうです。
ココアからの抽出方法によってフラバノールの含有量が大きく変化するため、今のところ、このような高容量のフラバノールのサプリなどはまだ製品化されていないとのこと。今後、実際の利用に向けて、開発が進んでいきそうです。
▼外部リンク
・Dietary Flavanols Reverse Age-Related Memory Decline
・Enhancing dentate gyrus function with dietary flavanols improves cognition in older adults