国内において増加傾向にある慢性透析患者
キッセイ薬品工業株式会社は11月19日、高リン血症治療薬である「PA21(開発番号)」について、厚生労働省に対して製造販売承認申請を行ったことを発表した。
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慢性透析患者においては、腎臓の機能低下により余分なリンが腎臓から排泄されず、血清リン濃度が上昇して発現する高リン血症は、血管石灰化の促進因子のひとつとなり、心不全などの心血管イベントに影響を与え、死亡リスクを上昇させる。
慢性透析患者の高リン血症に対しては、食事療法や透析での除去に加え、消化管からのリン吸収を抑制するリン吸着薬などが用いられているが、国内における慢性透析患者数は年々増加傾向にあり、医薬品のラインアップ強化が求められている。
水なしでの服用可能、新たな治療選択肢として期待
PA21は、欧州の大手製薬企業であるガレニカ社とフレゼニウスメディカルケア社が出資して2010年末に設立された、スイスのビフォー・フレゼニウス・メディカル・ケア・リーナル・ファーマ社がその権利を保有。すでに世界32か国で承認を取得、米国やドイツ、ポルトガルでは「Velphoro(R)」の商品名で販売されている。キッセイ薬品工業は、2010年9月に同剤の独占的開発・販売権を取得、日本国内での発売を目指し、開発を進めていた。
PA21は鉄を用いたリン吸着薬で、消化管内でリン酸と結合し、体内へのリン吸収を抑制して血清リン濃度を低下させる。水なしで服用可能という特徴があり、水分制限が必要な透析患者に新たな治療選択肢をもたらす薬剤となるものと期待されている。
▼外部リンク
・キッセイ薬品工業株式会社 プレスリリース