マイナンバー制度の開始に向け、次期通常国会で個人情報保護法の改正が予定されている。こうした中、3師会は、医療情報を扱う番号が複数施設、多職種がかかわる地域医療・介護連携で活用されることは効率的とする一方、医療記録として名寄せできる可能性に懸念を表明。マイナンバーとは別に、国民が必要な時に番号を変更できる医療等分野の専用番号(医療等ID)が必要とした。特に医療等IDは、覚えきれない文字とする「見えない番号」を使うよう求めた。
医療従事者以外が医療情報を取り扱うようになってきていると指摘。医療情報を保護対象とした法整備の必要性を提言。また、医療情報は他の情報と照合することで個人が特定される可能性を否定できないとし、医療情報の二次利用を厳しく制限すると共に、突合は原則禁止とすべきとした。
また、16年から国民の申請により市町村が交付する「個人番号カード」について、「医療現場で利用する環境を容易に作るべきではない」とし、医療等IDを用意するなど、医療情報と個人番号が結びつく危険性をなるべく小さくするよう求めた。個人番号カードに健康保険証機能を取り込むことに対しても、患者のプライバシー保護の観点から反対を表明した。
さらに、遺伝子情報の利用について、「既に異業種の企業が新規ビジネスとして遺伝子情報の収集、解析に取り組み始めている」と懸念を示し、遺伝子情報の二次利用を制限するほか、レセプトに記載されている保険医や保険薬剤師の行った医療情報のプライバシーにも考慮した個人情報保護法の改正が必要とした。
日本医師会の石川広己常任理事は「マイナンバーから医療情報を引き出すことができないようにすべき。医療にかかわる部分は、医療専用のIDが入ってくるべきだ」と強調した。
日本薬剤師会の山本信夫会長は、「薬局での情報管理は、診察を受けた患者が最後に訪れる、いわば最後の砦だ」と述べ、患者の安全、安心が第一であると主張した。