薬剤師免許は、合格発表後、すぐに申請しても証明書の取得に約1カ月程度かかる。しかし、薬剤師国試は医師、歯科医師など他の医療職種に比べて実施時期が遅い上、大学側の卒業認定も3月中旬から下旬と遅く、免許証の取得が医療機関や薬局の採用日である4月1日に間に合わない。
昨年8月には、東京医科歯科大学で免許登録前の薬剤師が調剤業務に従事していた事案が明らかとなり、日本薬剤師会と日本病院薬剤師会が連名で「薬剤師国家試験合格者の新規免許取得の短縮化に関する要望書」を厚生労働省医薬食品局長に提出していた。
この日の会合では、薬剤師免許発行日の前倒しに向けた大学側の卒業日の設定が議題に上がり、国公立大学薬学部長(科長・学長)会議の平嶋尚英幹事が検討状況を報告。同会議が各大学に対して、卒業日を動かすことが可能かどうか打診したところ、11月に開かれた会議で「2015年度の卒業生から、3月10日ないしそれ以前に卒業日を設定することは可能との返事があった」と説明した。
私立薬大協会の井上圭三会長も、6月の総会で卒業日を3月10日以前に設定することに対して、「特に異論はなかった」とし、今月25日に開く予定の総会で最終的に決定される見通しになっていることを報告。適用の時期については、「できることなら、国公立大と合わせて15年度からということにしたいと思う」との考えを示した。
ただ、2月末に試験を行い、その後の採点、問題の精査、集計などの物理的な作業を考えると、合格発表は3月下旬になる。そこから登録の作業が、4月1日までにできるとは考えにくい。会議では、大学の卒業日より免許証の発行期日に大きく影響する国試の日程を大幅に前倒しすべきとの意見が出た。
これに対して厚労省は、他の専門職種の国試との関係があり、難しいと説明。来年の国試を2月28~3月1日に実施することにしたように、試験日程をわずかに早めることや、事務処理期間を短縮させるなどして対応したい考えを示した。
会合では、新6者懇の下に設置された「実務実習に関する連絡会議」の延長についても協議。文部科学省が「改訂コアカリに基づいた実務実習が19年から開始されるに当たり、その実施に向けた各機関における準備状況の確認、ガイドラインの検証と必要に応じた改訂を行っていく必要がある」とし、来年3月31日の設置期限を19年3月31日に延長することを提案したが、異論は出なかった。