眠っている間に禁煙?
睡眠中の脳の働きを利用すると、禁煙の効果が高まるのではないかという研究結果がイスラエル・ワイツマン研究所から発表されました。この研究は、禁煙をしたいと思っているけれど、なんの取り組みもしていないという、66人を対象に行いました。
まず、喫煙習慣についての質問をして、日頃の喫煙状況についての情報収集を行った後、実験室で睡眠を取ってもらい、睡眠パターンを細かく観察しました。そして、ノンレム睡眠の間に、たばこの煙と併せて、腐った卵や腐った魚の悪臭を嗅いでもらいました。
すると参加者は、翌朝目覚めたときには、匂いを嗅がされたことは覚えていませんでしたが、その後1週間の喫煙行動を観察すると、喫煙本数が平均で3割程度減っていることが分かったのです。
また、同様の悪臭を睡眠中ではなく、目覚めと共に嗅いでもらったグループでは、喫煙行動に変化が見られませんでした。
タバコと悪臭の結びついたイメージが、脳に働きかける
ノンレム睡眠中の夢は、起きたときに記憶が残る割合が最も低いそうです。けれども、何らかの形で記憶が残っている時間でもあります。今回の実験は、記憶に残っていた悪臭とタバコの関連性が、喫煙に対してのマイナスなイメージとして働き、喫煙本数を減らす結果になったと推測されます。
脳の中でも、中毒性のある物質が働きかける報酬系の部分は、嗅覚を司る部分と位置的に近いそうです。このため、タバコのイメージと関連づける情報としては、音楽や手触りなどの他の感覚器を使ったものよりも、嗅覚を利用した場合に効果が出やすいのではないかと考えられています。
自然な形で、より健康的な行動が出来るようになる行動変容のための方法として、今後、研究が続けられるそうです。
▼外部リンク
・Behavioral Changes Seen after Sleep Learning
・Olfactory Aversive Conditioning during Sleep Reduces Cigarette-Smoking Behavior