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自己免疫病を防ぐ胸腺の幹細胞を同定-京大

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2014年11月20日 PM02:00

胸腺退縮に伴い、胸腺上皮細胞の活性も低下

京都大学は11月14日、T細胞の自己寛容に必須の役割を果たす胸腺髄質上皮細胞の幹細胞を同定し、その移植により麺根器疾患を回避することに成功したと発表した。これは、同大学医学研究科の湊長博教授、濱崎洋子准教授、瀬海美穂助教らの研究グループによる成果で、米科学誌「Immunitry」に11月20日付で掲載されている。


画像はプレスリリースより

免疫系が正常に働くためには、病原体など非自己を攻撃して排除するのに対し、組織など自己を攻撃しないことを保証する仕組み「自己寛容」が必要である。T細胞はさまざまな免疫担当細胞の司令塔として機能し、多くの免疫細胞の反応の程度や方向性を決定することから、T細胞の自己寛容の成立はより厳密であると考えられている。

その過程を担うのがT細胞の発生組織である胸腺組織の髄質領域であるが、攻撃してはならない自己をT細胞に教える重要な細胞である胸腺髄質上皮細胞が維持される機構は、詳しく解明されていなかった。

免疫系を回復するための方法論の開発に期待

今回の研究では、マウス胸腺から胸腺髄質上皮細胞の幹細胞「mTECSC」を同定することに成功。胸腺髄質の形成不全のため、自己免疫疾患を発症するマウスにmTECSCを移植すると個体のほぼ生涯にわたって、正常な髄質上皮細胞を供給し、自己免疫疾患の発症をほぼ完全に抑えることに成功したという。

胸腺は、T細胞を産生する重要な臓器であるにもかかわらず、思春期を過ぎた頃から機能が低下することが知られており、生後すぐに幹細胞の活性が低下しはじめること、一方でT細胞側に異常があり、T細胞産生ができないマウスの胸腺上皮幹細胞の活性は、歳をとっても高く維持されていることが明らかになったとしている。

これらの研究結果は、胸腺退縮や加齢によって免疫機能が低下するメカニズムを知る重要な手掛かりとなるとともに、化学療法や放射線治療などを受けた患者が正常な免疫系を回復するための方法論の開発に大きく貢献すると考えられるという。

▼外部リンク
京都大学 プレスリリース

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