全糖尿病患者の3%で発現する糖尿病黄斑浮腫
バイエル薬品株式会社と参天製薬株式会社は11月18日、「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性(滲出型加齢黄斑変性)」、「網膜中心静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫」、「病的近視における脈絡膜新生血管」の治療で使われる眼科用VEGF阻害剤「アイリーア(R)硝子体内注射液40mg/mL」「アイリーア硝子体内注射用キット40mg/mL」で、新たに「糖尿病黄斑浮腫」の適応追加承認を取得したことを発表した。
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糖尿病黄斑浮腫は、網膜の血管が障害される糖尿病網膜症と並んで、糖尿病患者によくみられる細小血管合併症。黄斑部中心窩に血漿成分が漏出することで起こり、高度な視力障害や失明の原因になる場合がある。糖尿病黄斑浮腫は、多くの先進国で若年・中年層の成人の失明原因として最も高い割合を占めており、視力障害と併せて全糖尿病患者の約3%で発現すると推定されている。
糖尿病を抱える患者にとって大きな福音に
今回の承認は、合計862人の患者を対象とした第3相臨床試験であるVIVID-DME試験およびVISTA-DME試験の1年目のデータなどに基づき行なわれた。欧州や日本などで実施されたVIVID-DME試験では、アフリベルセプト2mgを4週ごとに5回投与後、8週ごとに投与する群と、黄斑レーザー光凝固術を施行する群に割り付け比較した。
8週ごとに投与した群では、52週目のBCVAがベースラインと比較して平均10.7文字改善。レーザー治療群では、平均1.2文字の改善だった。同条件で米国で実施されたVISTA-DME試験では、アフリベルセプト投与群が、ベースラインと比較して平均10.7文字改善。レーザー治療群では平均 0.2文字の改善だった。
今回の適応追加承認について、VIVID-DME試験の治験調整委員会メンバーの名古屋大学眼科学 寺﨑浩子教授は「糖尿病網膜症は、日本における視覚障害の原因疾患の第2位となっています。そのうち約20%を占めるとも言われる糖尿病黄斑浮腫は、高度な視力低下につながるリスクがあります。第3相臨床試験でレーザー治療群と比較して統計学的に有意な視力改善を示したアイリーアが、このたびの承認により糖尿病黄斑浮腫に対し視力改善をもたらしうる治療選択肢となることは、糖尿病を抱える患者さんにとって大きな福音になると期待しています」とコメントを寄せている。(QLifePro編集部)
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バイエル薬品株式会社 プレスリリース