日本医療機能評価機構は、インスリン注入器を用いて患者にインスリンを投与する時に、名前の記載がなかったり、不十分だったために別の患者の注入器と取り違えた事例を17日付の「医療安全情報」で報告し、関係者に注意喚起した。
インスリン注入器を用いて患者にインスリンを投与する時に、別の患者の注入器と取り違えた事例は2件。具体的には、患者に「ヒューマログ注カート」3単位を皮下注射する指示に対し、看護師は注射伝票で指示を確認したが、インスリン注入器の患者の氏名が書かれたキャップの本体に「ヒューマログミックス50注カート」のカートリッジが付いていた。
指示とは違うインスリンだったため、指示を受けた看護師に確認したところ、名前を見て「大丈夫」と回答。そのまま「ヒューマログ注ミックス50注カート」を皮下注射してしまった。その看護師が複数患者のインスリン注入器をまとめて保管していた時に、違う患者のインスリン注入器のキャップが入れ替わっていたことが発覚した。
また、別の事例では、夜に翌朝から「ノボラピッド注フレックスペン」を患者に注射する指示があり、夜勤の看護師は薬局から受け取ったが、未使用の注入器は伝票と一緒に輪ゴムで止めて保管することになっていたところを、名前のシールを貼らずにそのまま保管した。
一方、別の患者の「ノボラピッド注フレックスペン」は、注入器に患者名のシールを貼らずに薬袋に入れて保管していたため、当日の朝、夜勤の看護師は血糖値の測定後、患者名のない「ノボラピッド注フレックスペン」を注射する患者のものと思い込み、使用してしまった。
その後、日勤の看護師が注射すべき患者の「ノボラピッド注フレックスペン」が使われた形跡がないことに気付き、誤って別の患者の製剤を使用したことが発覚した。
こうした事例が発生した医療機関に対して、同機構は、キャップを外しても患者名が分かるよう、インスリン注入器の本体に患者名を記載することを促すと共に、投与前に患者名と患者のインスリン注入器、注射指示書を必ず確認するよう注意喚起した。