■GE薬浸透の逆風響く
製薬大手5社の2014年度上半期決算が出揃った。円安による影響で海外売上が拡大し、減収減益となったエーザイを除き増収増益を達成した。国内は、薬価改定とGE薬の使用促進の逆風を受け、長期収載品の売上が落ち込み、5社揃って減収と苦戦。海外で稼ぐ一方で、国内の事業環境が厳しさを増している。
武田薬品の医療用医薬品の売上は前年同期比2・9%増の7701億円。高血圧症治療剤「カンデサルタン」や胃潰瘍治療剤「ランソプラゾール」、抗癌剤「リュープロレリン」が売上を減らしたが、抗癌剤「ベルケイド」や痛風治療剤「コルクリス」など新薬群が順調に推移し、海外売上は8・9%増となった。一方、国内は売上上位3品目のカンデサルタンやリュープロレリン、ランソプラゾールが二桁減となり、3・6%減の2794億円となった。海外売上比率は63%と約2ポイント上昇した。
アステラス製薬は、9・3%増と当初計画を上回った。主力の前立腺癌治療薬「エンザルタミド」と過活動膀胱治療剤「ミラベグロン」が倍増を達成し、米州で20%増、欧州で28%増、アジア・オセアニアで17%増と海外で大きく伸ばした。
国内では、泌尿器領域のグローバル製品「ハルナール」「ベシケア」が二桁減、高脂血症治療剤「リピトール」や抗精神病薬「セロクエル」などのローカル品も売上を落とし、想定を下回る7%減の2295億円となった。海外売上比率は60%を超えた。
大塚ホールディングスの医療関連事業は、主力の抗精神病薬「エビリファイ」が拡大し二桁成長を達成。中間期売上で3位に浮上した。地域別では北米が20%増と牽引した一方、国内は抗血小板剤「プレタール」、胃潰瘍治療剤「ムコスタ」が共に25%減となり、4・5%減の1728億円。計画対比でも微減となった。
第一三共は、12月に連結から外れる印GE薬子会社「ランバクシー」を除くと、0・1%増の4296億円と増収を確保。売上の3分の1強を占める高血圧症治療剤「オルメサルタン」が米国での価格競争激化で3%減となったが、米国子会社「ルイトポルド」や欧州、新興国が手堅く伸びた。ワクチン、OTC事業を含む国内事業は、長期収載品売上減を新薬群で挽回できず、当初計画から未達となり、2・2%減の2226億円となった。
エーザイは、AD治療剤「アリセプト」とPPI「パリエット」の特許切れ影響を拭い切れずに、医薬品事業は12%減の2599億円と厳しい結果となった。米国事業が25%減、国内はGE薬が15%増と伸びたが、逆に医療用医薬品が不振で13%減の1396億円。計画を達成できなかった。
営業利益では、大塚、アステラス、第一三共が二桁の伸び、武田も当初見込みを3割程度上ブレし、6%台の増益を確保した。一方、エーザイは減収と積極投資により前年同期の約4割の水準まで沈んだ。
通期は、武田と売上・利益を上方修正したアステラスは増収増益、ランバクシーが連結から外れる第一三共、エーザイは二桁の減収減益を予想。大塚は増収を計画している。
表:国内製薬大手5社の14年度上半期決算