今年8月の安全対策調査会では、指定第2類に分類されているイブプロフェンやアスピリンなどの解熱鎮痛剤と比較しても特に注意が必要な副作用が認められなかったことなどを踏まえ、妊娠末期の女性に対して禁忌であること、長期連用しないなどの情報提供を確実に行うことなどを条件に、指定第2類に引き下げることが適当との案をまとめ、パブリックコメントを募集していた。
ただ、パブコメでは、鎮痛作用が強い同剤は長期使用による乱用が懸念されること、20代から40代の女性が多く使用しており、妊娠中や授乳中の女性への影響が懸念されるなど、リスク区分を指定第2類に引き下げることに対して否定的な意見が多く寄せられていた。
この日の部会では、日本医師会の今村定臣常任理事が、ロキソニンが他の鎮痛剤に比べて出荷数も多く、第一選択薬に近い状態になっている点を指摘し、「家庭にストックされている可能性が高く、妊婦が服用してしまうことは考えられる」とし、リスク区分の引き下げに慎重な姿勢を示した。
日本薬剤師会の生出泉太郎副会長は、「8月の調査会から、確実に情報提供を行う必要がある薬剤は第1類にとどめ置くべきとの考えは変わっていない」とすると共に、指定第2類になれば、登録販売者でも購入できるようになり、購入のハードルが下がるため、「利便性だけを追求するという判断はすべきではない」と述べ、今村氏の意見に同調した。
部会長の五十嵐隆氏(国立成育医療センター総長・理事長)は、「慎重であるべきとの意見が多数出た」とし、部会ではリスク区分を第1類にとどめ置くとの結論をまとめた。
調査会の判断が部会で覆えるケースは珍しく、直近では、肝斑改善薬「トラネキサム酸配合剤」(ダイト:トランシーノ)を第2類へ変更する案を調査会がまとめていたが、漫然と長期投与した場合の塞栓症の懸念が否定できないとして、第1類薬に据え置く判断を下している。