国内初、原発性免疫不全症では2疾患目
国立成育医療研究センターは11月7日、慢性肉芽腫症患者に対する造血幹細胞遺伝子治療を行ったと発表した。これは、国内初の慢性肉芽腫症患者に対する遺伝子治療で、原発性免疫不全症に対する造血幹細胞遺伝子治療としては2疾患目。
画像はプレスリリースより
20歳代男性のX連鎖慢性肉芽腫症患者に対する造血幹細胞遺伝子治療は、7月22日に実施された。患者の末梢血から採取した造血幹細胞に、レトロウイルスベクターを用いて正常な遺伝子を入れ、再び患者の身体に戻すという方法で行われたという。その結果、重度の感染症は改善し、患者は退院。重篤な副作用も認められていないとしている。
内科的治療では改善みられず
男性患者に対しては、複数の抗生剤等を使用した内科的治療が行われてきたが、多臓器にわたる感染症は改善がみられなかった。造血幹細胞移植を行うためのドナー検索も数年にわたり実施したものの、見つからなかったという。
同センターは、今後も継続して造血幹細胞遺伝子治療を行っていくとし、リリースでは「今回の遺伝子治療が、慢性肉芽腫症に対する新たな治療法として確立することを期待するのみでなく、我が国の遺伝子治療の発展に少しでも役立つことを祈念しています」と述べられている。
▼外部リンク
・国立成育医療研究センター 臨床・研究トピック