全株式を契約一時金1億5000万ドルで取得
英アストラゼネカ社は11月4日、同社のグローバルバイオ医薬品研究開発部門であるメディミューンが、世界最先端の画像・データ解析技術を持つ非上場企業「Definiens社」を買収すると発表した。
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メディミューンは、Definiens社の全株式を1億5000万ドルの契約一時金で取得する。また、契約に基づいて、追加的なマイルストーンを達成するごとにその支払いを行うという。買収は2014年第4四半期に完了する予定。メディミューンは、今回の買収を通じ、がん免疫治療における新たな効果予測バイオマーカーの開発力を強化するとしている。
臨床試験の対象となる患者を選択するバイオマーカーを使用することで、臨床試験の期間を効率よく短縮し、奏効率を改善することができると見込まれている。現在、個別化医療のアプローチが約8割を占めるアストラゼネカの低分子化合物及びバイオ医薬品のポートフォリオ全体において、有望な併用療法を進展させる重要な技術を取得することになるとしている。
高度で精緻な効果予測・予後のバイオマーカー測定を臨床プログラムに導入
Definiens社は、組織診断及び臨床的デジタル病理学の画像解析とデータマイニング提供を行うグローバル企業。腫瘍細胞におけるバイオマーカーの同定を大きく改善するTissue Phenomics(TM)アプローチを有することで知られている。
Definiens社独自の「Cognition Network Technology(R)」は、1986年のノーベル物理学賞を受賞したGerd Binning教授が開発したもので、腫瘍の特性や部位、またさまざまな要素が複雑に関わる微小環境における関係性を測定することで、腫瘍細胞標本から重要な情報を解明する技術となっている。
メディミューンは、Definiens社の買収により、その技術を同社のがん免疫治療における包括的プログラムに組み込むことで、高度で精緻な効果予測・予後のバイオマーカー測定を臨床プログラムに導入することが可能になるという。
またメディミューンは、主に呼吸器、炎症、自己免疫疾患、心血管及び代謝性疾患、がん、ニューロサイエンスならびに感染症、ワクチンなどの疾患領域に注力し、新規治療経路を創出する革新的研究を推進している。今後、メディミューンとDefiniens社の協働により、迅速な個別化治療の提供を実現することにつながるものと期待される。
▼外部リンク
・アストラゼネカ株式会社 プレスリリース