日病薬は、2014年度事業計画の重点事項に、「手術室、ICU、NICU、PICU等における積極的な業務展開」を位置づけており、昨年度の「薬剤師の配置を目指す」から、さらに踏み込んだ形となった。この日、示された14年度「病院薬剤部門の現状調査」によると、手術室関連業務に薬剤師が関与している割合は30・4%だったが、配置状況を見ると、1日平均5割未満しか従事していない「兼務」がほとんどで、少ない人数の中で何とか手術室関連の業務を展開している実態がうかがえた。
具体的に行っている業務は、麻薬・向精神薬・筋弛緩薬の管理、医薬品カート等による医薬品のセット管理等の「薬剤・医療材料の管理」が62%、注射ルート管理や薬剤のミキシングやシリンジ充填を行う「与薬関連業務」が20%と、これら業務で8割以上を占めた。手術室で使用する薬剤の処方提案、投与量や投与速度の算出等の「薬学的管理」は12%にとどまったが、北田氏は「手術室における医療安全に関わり始めている」と評価した。
ICU関連業務に薬剤師が関与している割合を見ると、53・4%と5割を超えたが、配置状況は手術室と同様、「兼務」がほとんどを占めた。具体的に行っている業務は、ICU等で使用する薬剤の処方提案等の「薬学的管理」が40%と最も多く、12%にとどまった手術室とは違った展開が見られた。次いで「薬剤・医療材料の管理」が26%、「与薬関連業務」が23%となった。
北田氏は、「どうしても専従で対応できている施設は少ないが、ハイリスクな場所に兼務ではなく、きちんと専従、専任の形で業務展開できる人員を確保してほしい」と求めつつ、「十分な人員配置ができない中、病棟以外の手術室やICU等、様々なところに業務展開していくのは並大抵の努力では難しいと思うが、少しずつ展開してくれていることは心強い」と評価。「何とか新しい業務展開につなげてほしい」と期待感を示した。
その上で、「院内のあらゆるところに薬がある。医療安全のためにも、薬物療法全般に責任を持って関わっていかなければいけない。最終的には、患者さんのメリットを最優先に考え、臨床的アウトカムを出せるような業務展開をしていく必要がある」と訴えた。