既存抗てんかん剤に対する追加有用性は証明できないと決定
エーザイ株式会社は11月7日、同社の抗てんかん剤「Fycompa(R)(一般名:ペランパネル)」について、ドイツ連邦合同委員会(G−BA)が保険償還に向けた評価で、既存の抗てんかん剤に対する追加有用性は証明できないと結論づけたと発表した。
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エーザイはこの決定に対して強い遺憾の意を表明し、引き続きFycompaについて、その臨床的価値や患者ニーズの正しい理解を、当局に対して求めていく方針であるとしている。
G−BAの評価に際しては、合計1,480人の他剤無効の難治性部分てんかん患者を対象とした、3つのグローバル臨床第3相試験の結果を提出したという。試験はいずれも無作為化、二重盲検、プラセボ対照、投与量漸増試験として実施されたもので、全てで部分てんかん併用療法として、一貫し優れた有用性を確認することができている。なお、主な有害事象としては、めまい、眠気、倦怠感、頭痛、転倒、神経過敏及び運動失調が報告されていた。
また、この試験データに加え、ドイツ、オーストリアのてんかん専門9施設で実施した6か月間の観察試験の結果も提出している。この観察試験では、Fycompaによる治療を受けた難治性てんかん患者281人の内、約半数で発作頻度が50%以上減少、約15%の患者では観察期間中の発作発現がみられなかったという。
高選択的な非競合AMPA受容体拮抗剤、評価は極めて不合理とエーザイ
エーザイによると、G−BAはプラセボを比較対照薬とした試験結果を保険償還に向けた評価においては、認めないという方法論から、同社が主張する追加有用性は証明できないとしたという。しかし、プラセボを対照とする難治性部分てんかん併用療法プロトコルは、米国や欧州当局が薬事承認に必要な臨床試験としており、エーザイではG−BAの決定を極めて不合理なものとしている。
Fycompaは、エーザイが創製した新規化合物。シナプス後AMPA受容体のグルタミン酸による活性化を阻害し、神経の過興奮を抑制する、高選択的な非競合AMPA受容体拮抗剤となっている。欧州では12歳以上のてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する併用療法を適応に、2012年7月、EU27か国で承認され、9か国で既に販売されている。
ドイツでは2012年9月に発売したが、翌年3月のG−BAによる追加有用性評価で、有用性や革新性に関し求めた評価が得られなかったことから、エーザイはドイツでの販売を一時中断。その後、追加有用性評価制度の一部改正が行われたことから、今年5月にG−BAに対し追加有用性再評価申請を提出していた。
▼外部リンク
・エーザイ株式会社 ニュースリリース