自民党厚生労働部会(部会長・高鳥修一衆院議員)は4日、危険ドラッグの販売や広告の規制を強化する薬事法改正の与党案を了承した。現行の「指定薬物の疑いがある物品」に加え、「指定薬物と同等以上に精神毒性があると疑われる物品」についても、全国一律に店舗での販売やインターネットでの広告を中止できるようにすることなどが柱。自民、公明の両党は11日の政審総務会での審議を経て、野党と法案内容を調整し、今臨時国会での成立を目指す。
現行では、指定薬物に指定するためには成分を特定する必要があるが、特定するまでの間に商品が流通することが問題となっている。
これまで、厚労省や都道府県は、指定薬物の疑いがある商品について薬事法に基づく検査・販売停止命令をかけて取り締まってきたが、販売停止命令は当該業者にしか効力がない上、ネット販売の業者には適用できなかった。
与党案では、検査命令・販売等停止命令の対象を「指定薬物と同等以上に精神毒性を有する蓋然性が高いことが疑われる物品」に拡大すると共に、それらの商品を官報で告示し、実店舗やネットでも全国一律に販売、広告の中止を命じることができるようにする。
また、ネット販売の規制を強化するため、厚労省がプロバイダーに対して指定薬物などの違法広告を掲載している販売サイトの削除を要請できるようにすると共に、プロバイダーがサイトを停止しても賠償責任を負わずに済むようにする方針だ。
このほか、指定薬物の乱用防止のための教育・啓発や、依存症患者を回復させるための相談体制・専門的な治療を行う病院の整備に関する規定も設ける。
危険ドラッグの規制を強化するための薬事法改正案をめぐっては、先月10日に民主党や維新の党など野党7党が衆院に共同提出している。
高鳥部会長は、与党案について、「野党案の意見も取り入れながら、現時点でできる限りの対策を盛り込んだ」と強調。その上で、「野党側とすり合わせをして、委員長提案で速やかに成立させたい」との考えを示した。