塩分を摂取量の多い日本人向けの治療法として期待
東京大学先端科学技術研究センターは10月28日、アルドステロン拮抗薬が慢性腎臓病(CKD)患者の蛋白尿を抑制することを証明したと発表した。
画像はプレスリリースより
これは、同センター・臨床エピジェネティクス講座の藤田敏郎・東京大学名誉教授が主任研究者を務めるEVALUATE研究グループによる研究成果で、塩分摂取量の多い日本人の慢性腎臓病に適した、新しい治療法につながることが期待される。
2009年から2012年にかけて臨床試験を実施
藤田名誉教授は2008年に動物実験で、塩分摂取によりアルドステロン受容体が活性化され、腎障害が引き起こされることを明らかにしている。このことから、EVALUATE研究グループは、2009年から2012年にかけて臨床試験を日本において実施。RA系抑制薬を投与中の高血圧を伴う非糖尿病性CKD患者を、アルドステロン拮抗薬投与群とプラセボ投与群に分け、二重盲検比較試験を行った。
その結果、アルドステロン拮抗薬投与群においては、尿中のアルブミン排泄が有意に減少したという。このことから、塩分摂取量の多いCKD患者は、従来の治療に加えてアルドステロン拮抗薬の併用が効果的であることが明らかになったとしている。
なお、この研究成果は、英科学雑誌「The Lancet Diabetes & Endocrinology」に10月28日付で掲載されている。
▼外部リンク
・東京大学 プレスリリース