「不眠症の自覚症状あり」だが、約7割が「医師に相談したこと」がない
MSD株式会社は11月6日、全国の20歳から79歳の男女7,827名を対象に行った、不眠に関する意識・実態調査の結果を発表した。
画像はプレスリリースより
調査結果によると、平日の睡眠時間は平均6.3時間、休日で平均7.0時間となり、各層間にも、平日と休日にも大きな差はなかった。今回の調査結果を、国際基準「アテネ不眠尺度」にあてはめたところ、調査対象者の約4割(38.1%)が「不眠症の疑いがある」、約2割(18.4%)が「不眠症の疑いが少しある」と判定された。
しかし、不眠症の疑いがある人で、「自分が不眠症ではないかと思う」(35.2%)のは3人に1人で、残りの約6割(64.8%)は不眠症の自覚がなかった。さらに、不眠症の自覚症状がある人でも約7割が「医師に相談したことはない」(69.0%)と、受診していない実態が明らかになった。
「テレビ、スマホ操作、寝酒」が脳を覚醒させてしまう
睡眠の質を低下させている原因を聞くと、不眠症の重症度が高いほど、その原因の数も多くなる傾向がみられた。最も高かったのは「ストレス」で、不眠症の疑いなし層は19.5%に対し、不眠症の疑い少しあり層は38.1%、疑いあり層は58.5%、治療層は65.7%と、不眠症状が強まるにつれストレスがある人も高くなっていたことが分かった。また、就寝時に感じる感覚でも、不眠症状が強まるほど就寝時に負の感情を抱いている割合が高くなり、全体的に不眠症の疑いあり層は疑いなし層よりも高いスコアに。特に「不安感」、「憂鬱な気持ち」、「緊張感」はいずれも約4倍高いスコアだった。
寝る前に脳の覚醒を引き起こすと言われる「テレビ、スマホ操作、寝酒」行動を実施しているかどうかを聞くと、不眠症の疑いあり層の9割近く(88.8%)が、いずれかを「実施している」と回答した。
今回の調査結果について久留米大学医学部神経精神医学講座の内村直尚教授は、「不眠症の有病率は諸外国を含め、一般に6~10%とされているが、日本ではそれよりはるかに多い可能性が示唆された。高齢者はテレビ、中年男性は飲酒、若年者はパソコン、タブレット、スマホなどの操作やゲームなど、脳が休息したいときに、逆に覚醒を強めるような行動を行うことは快眠の妨げになっている。従来いわれてきた対人関係のストレス、カフェインの摂取などに加え、寝室まで携帯電話を持ち込むようなライフスタイルの定着が日本人の脳をより一層、覚醒状態に追いこんでいるのだろう」とコメントした。(QLifePro編集部)