医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 九州大 口腔の創傷治癒を促進する生体メカニズムを解明

九州大 口腔の創傷治癒を促進する生体メカニズムを解明

読了時間:約 1分2秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2014年11月06日 PM07:50

創傷治癒の新たな治療薬の開発に期待

九州大学は10月30日、口腔の創傷治癒を促進する生体メカニズムを明らかにしたと発表した。


画像はプレスリリースより

これは、同大大学院歯学研究院の城戸瑞穂准教授、佐賀大学大学院医学系研究科博士課程4年の合島怜央奈研究員、自然科学研究機構生理学研究所の富永真琴教授らによる研究成果で、米科学雑誌「The FASEB Journal」に10月28日付で掲載されている。

口腔の傷は皮膚上の傷よりも早く治り、傷跡も残りにくいが、その分子メカニズムについては解明されていなかった。今回の研究成果が、創傷治癒の新たな治療薬の開発につながることが期待される。

TRPV3が温度の受容、創傷治癒の促進を担う

城戸准教授らは、口腔への刺激の受容に粘膜上皮が関与していると考え、上皮細胞に発現するTRP(transient receptor potential)チャネルに注目。カルシウム透過性の高い温度感受性チャネルであるTRPV3について研究を行い、TRPV3およびTRPV4が温度の受容を担っていることを明らかにしたという。

また、口腔の培養上皮細胞においては、皮膚の培養角化細胞よりもTRPV3の発現が強いことも発見。TRPV3欠損マウスを作製して抜歯を行ったところ、野生型マウスよりも傷の治癒が遅れることがわかったと報告している。

現在、皮膚や粘膜の傷の治療には、創傷被覆材などが使用されているが、根本的な治療はない。TRPV3 は、口腔だけでなく消化管粘膜や皮膚にも発現していることから、火傷や手術創、口内炎などの治療にTRPV3 チャネルを標的とした温熱療法や薬剤の開発が期待されるという。

▼外部リンク
九州大学 プレスリリース

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 「働きすぎの医師」を精神運動覚醒テストにより評価する新手法を確立-順大ほか
  • 自己免疫疾患の発症、病原性CD4 T細胞に発現のマイクロRNAが関与-NIBIOHNほか
  • 重症薬疹のTEN、空間プロテオミクス解析でJAK阻害剤が有効と判明-新潟大ほか
  • トリプルネガティブ乳がん、新規治療標的分子ZCCHC24を同定-科学大ほか
  • トイレは「ふた閉め洗浄」でもエアロゾルは漏れる、その飛距離が判明-産総研ほか