大阪大学らとの共同研究により
東北大学は10月22日、白血球の分化の仕組みを制御する遺伝子のスイッチ(転写因子)を発見したと発表した。
画像はプレスリリースより
これは、同大大学院医学系研究科生物化学分野の伊藤亜里研究員、五十嵐和彦教授らのグループと、大阪大学免疫学フロンティア研究センターの黒崎知博教授らと共同研究によるもの。英科学雑誌「Nature Immunology」電子版に10月26日付で掲載されている。
複数の転写因子が協調して働く
これまで白血球のうち自然免疫を担う骨髄球、獲得免疫を担うBリンパ球が、造血系幹細胞からどのように分化するかなどは分かっていなかった。そこで研究グループは、遺伝子の機能を欠損させたマウスの解析を行い、Bach1 や Bach2 といった複数の転写因子が協調して働くことによって、造血系幹細胞のBリンパ球への分化が制御されていることを突き止めた。
また、これまで骨髄球、Bリンパ球への分化は、造血系幹細胞が前駆細胞になる際に決定されると考えられてきた。しかし、今回の成果によって、前駆細胞の段階では、骨髄球とBリンパ球、どちらにもなり得る能力を持っていることが示された。これはBリンパ球への分化を遺伝子発現から説明する新しいモデルだという。
感染症に対しては、自然免疫と獲得免疫のバランスが重要とされている。免疫のバランスの乱れは、感染症の重篤化、アレルギー性疾患などの発症につながると想定されることから、今回の発見は、免疫関連疾患のより詳細な理解へとつながると期待される。
▼外部リンク
・東北大学 プレスリリース