■薬ゼミが就職実態調査
調剤薬局・ドラッグストアを希望する多くの学生は、3社以内に絞り込んでエントリーし、1~2社のみ面接を受け、内定を獲得している実態が、薬剤師国家試験予備校大手「医学アカデミー薬学ゼミナール」が行った調査で明らかになった。学生の大半がウェブから企業情報を得ており、自社ホームページの充実に加え、就職活動を始める5年次までに、自社名や事業の特徴を浸透させ、自社ホームページへと誘導させる企業側の取り組みの重要性が浮き彫りになった。さらに、就職を決めるに当たって相談する相手は、全体の3分の2が「親」と回答。安心して子供を送り出せる企業かどうかを判断する上で、親を対象とした情報の充実も、新卒採用の大きなポイントとなっている。
調査は、8月5~11日の7日間、薬ゼミオンライン教室に登録している3976人を対象に、ウェブアンケートを実施し、3387人から回答を得た。約7割が内定を獲得済みで、内定先は調剤薬局が33%、病院が18%、ドラッグストアが14%となっている。
薬学生は、薬剤師不足を背景に、自らの希望に合った就職先を選べる有利な状況が続いている。エントリー企業数は、「1~3社」が45%、「4~6社」が20%、「7~10社」が10%と全体の5割近くが3社以内に絞り込んでいた。エントリーしたきっかけは、「就職サイト情報」が54%、「企業のホームページ」が25%とウェブ情報が大半を占め、「友人・先輩の勧め」が24%と続く。就職サイトは「マイナビ」の活用が73%と最も多かった。
エントリーした会社のうち、説明会への参加社数は、「1~3社」が54%、「4~6社」が20%となった。さらに、面接に行った社数となると、「1社」が40%、「2社」が22%、「行っていない」が16%と絞り込み傾向がより鮮明に。学生のほぼ7割は「内定を断っていない」と回答し、就職活動前に自社の特徴を浸透させておかないと、学生の選択肢にも入れてもらえないという厳しい結果となった。
「親」向けの情報提供も重要といえそうだ。学生が就職先を相談する相手は、「先輩・友人」が56%、「親」が55%と拮抗する一方、就職を決めるに当たって相談する相手は「親」が66%に上り、「先輩・友人」の36%を大きく引き離した。相談する場合は親以外にも聞くが、決める場合はほとんどが親に同意を得ている実態がうかがえる。
一方、内定を断った理由を聞いてみると、「会社の雰囲気」「勤務地」「福利厚生」が挙げられている。会社の雰囲気を重視する学生の中には、人事担当者とのやりとりで辞退した例も散見されている。代表的なものとして「他社批判が多い」「ライセンスが欲しいだけで、自分でなくてもいいのでは」等が聞かれた。説明会に参加して残念だったと思うことは、主に「国家試験合格に向けてのサポートが特にない」「業界についての情報が不足」「自分自身の不足点に気づけなかった」が挙がった。
今回の調査から、特に調剤、ドラッグストアが内定者を獲得するための4ステップとして、[1]エントリー[2]説明会[3]内定[4]国家試験合格、入社――のうち、最初の「いかにエントリーさせるか」が最も重要だといえる。薬ゼミでは、「各企業別に学生が内定を受けた理由、断った理由、説明会に参加する決め手から参加して良かったこと、参加して残念だったことなど、学生側のニーズを詳細に収集しており、企業の新卒採用に役立てられれば」としている。