赤ちゃんの脳は眠っていても大忙し
眠っている小さな赤ちゃんが、にっこり笑ったり、ぱたぱた手足を動かしたり。何ともほほえましい光景は、誰もが「夢を見ているのかな?」と想像することでしょう。ところがその瞬間、赤ちゃんの脳では、めまぐるしい発達のプロセスが起こっているというのです。
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これは、アメリカ・アイオワ大学の研究チームが、生後8日、10日の赤ちゃんラットの観察を行って明らかになったものです。研究チームが赤ちゃんラットがレム睡眠の間に動いている時の脳の状態を観察すると、不思議な現象が見られました。なんと、起きている時には、活動していなかった脳が、眠っている間に体を動かすと、しっかりと活動していたのです。
なぜ起きている時は、脳が活動しない?
調査チームは、最初にこの結果を目にした時は困惑したそうですが、「脳が未熟で、自分の意思で体を動かす信号の仕組みが出来ていないためではないか」との仮説を立て、検証に取りかかりました。
大人の脳では、自分の意思で体を動かしたときの信号と、自分の意思に関係ない動きの信号は、脳の中で分類されるようになっています。ところが、自分の意思で体を動かすことが出来ない赤ちゃんでは、この信号の分類のメカニズムもできあがっていません。
そこで、脳が未熟なうちは、「手が動くとこんな信号が出ますよ」「足ではこうですよ」といった具合に、体を動かすことによって生まれる信号を、眠っている間の動きで脳に教え込んでいることがわかったのです。このような状態を経て、脳がいろいろなことを覚えていくと、次第に自分の意思による動きとそうでない動きの信号が、正確に振り分けられるようになっていくのだそうです。
赤ちゃんの小さな頭の中で、こんなに複雑なプロセスが起こっているとは驚きです。もしかしたら、思い通りに体を動かせる日を夢見て、にっこりしているのかもしれませんね。
▼外部リンク
・Sleep twitches light up the brain
・Self-Generated Movements with “Unexpected” Sensory Consequences