冒頭、マーク・パリッシュIFPW会長は「サプライチェーンが医療の中で重要な役割を果たしていることがまだ十分に理解されていない」とし、「それぞれの国・地域でIFPWのメンバーが機能を多様化して成長している。非常に豊かな経験を学び合おう」と呼びかけた。
続いて中国政府関係者が登壇し、「健全な制度を整備して完全な流通システムを構築し、公正・公平な競争ができるようにしていく」と語った。また、中国の製薬業界の代表は「中国の医薬品市場は急成長しているが、伸び率が鈍化している」とし、価格引き下げを背景に小売市場で競争が激化している現状を説明した。ただ、長期的には高齢化や医療保険制度の整備を背景に拡大が望めるとの認識を示した。
初日のビジネスプログラムでは、IMSのダグ・ロング氏とパー・トロエイン氏が製薬産業のグローバル動向と医薬品流通への影響を分析した。
ロング氏は世界の医薬品市場が2014年度に初めて1兆ドルを突破し、さらに18年に1・3兆ドルに達すると推計。特に「多くの国で専門領域の伸び率が高い」とし、癌・自己免疫疾患・HIV・多発性硬化症などが大きな市場になってきたことを紹介し、15年以降は「これにC型肝炎が加わってくる」と見通した。
専門領域の薬剤は通常の医薬品と異なり、高額な上に患者に対するカウンセリングが重要で、薬局調剤が限定的だったり、特別な流通が求められるケースが多い。そのため、「今までの卸の役割と全く違う」と指摘し、医薬品卸全体平均の約2倍で伸びる専門領域を今後の大きな課題として強調した。
具体例として米ギリアド・サイエンシズの新規C型肝炎治療薬「ソバルディ」に言及し、移植術を代替できるほど極めて著効率が高いものの、非常に高額なために患者のアクセスを制限する可能性があるとの考え方を示し、「適切な薬剤を適切な患者へ届けることが重要になる」と述べた。
トロエイン氏はGE薬・バイオ後続品の拡大、直接販売、eヘルスの普及に注目した。GE薬をめぐっては「誰がマージンを獲得するのか、購買戦略が非常に重要になる。ベストプライスが大切であり、値引き合戦が起きると卸は破滅する。マイナスマージンになることもあり得る。付加価値を与えなければ、流通だけでは利益は生まれない」と述べた。
直販については、国によって状況が異なるものの、イタリアなど国によっては直販が拡大して卸に対する圧迫要因になっていることを解説した。
eヘルスは処方医・患者・薬局のかかわり方に変化をもたらし、患者が処方医に電子的手法でコンタクトし、対面診断を経ずに処方箋を更新して薬局が調剤する時代の到来を示唆。「こういう環境で仕事をする可能性もある」と述べた。