ラットを使った実験で、砂糖が多量に含まれる飲み物が思春期の脳の健康を害することが分かったとの報告が、南カリフォルニア大学の研究チームによって発表されました。
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この研究では、砂糖またはコーンシロップを含む飲み物を好きなだけ飲ませたラットと、代わりに人工甘味料を含む飲み物を与えたラットを比較。すると、砂糖を摂っていたグループでは脳の炎症や糖尿病の前駆症状が現れたのです。けれども、砂糖の入った飲み物が手に届くところにありながら、これを飲んでいなかったラットでは、こうした症状は見られませんでした。
これまで糖分は、体重管理や体型の維持について語られることが主流でしたが、このことから、例えば体重に変化がないからと言って、砂糖たっぷりの飲み物を飲み続けることは、決して健康的とは言えないことが明らかになったのです。
脳の働きは、餌を仕込んだ迷路を複数回走らせて、道筋の記憶状態を観察することで判断しました。同じ迷路で、毎回出口にたどり着くのに手間取る場合、脳の中でも記憶を司る海馬に何らかの悪影響が出ていると解釈されます。これは、アルツハイマー病でも見られる現象です。
アメリカのティーンエイジャーの平均を見た場合、砂糖からのカロリーの摂取は1日の総摂取カロリーの17%。今回の観察で、砂糖の影響が見られたラットでは、総摂取カロリーの35%から40%が砂糖によるものでした。
人間の脳には、食生活の影響を受けやすい時期があり、その一つが思春期とのことです。ラットで見られた現象が、どの程度私たちに共通するかはまだ明らかではありませんが、体型や体重の管理とは別の次元で、糖分のコントロールが必要なのですね。
▼外部リンク
・Sugar Linked to Memory Problems in Adolescent Rats
・Effects of sucrose and high fructose corn syrup consumption on spatial memory function and hippocampal neuroinflammation in adolescent rats