10年あまりをかけ、簡便なものを新たに開発
岡山大学は10月8日、認知症患者の生活の質を客観的に評価することができるスケールを開発したと発表した。
この画像はイメージです
これは、同大大学院医歯薬学総合研究科精神神経病態学教室の寺田整司准教授、内富庸介教授らの研究グループが開発したもの。国際老年精神医学会の学会誌「International Psychogeriatrics」に8月27日付で掲載されている。
同研究グループは、2002年に31項目にもわたる詳細なスケールを開発。その後10年あまりをかけて、今回の簡便なスケールを新たに開発したという。
陽性の感情に焦点をあて、気持ちを評価
生活の質は本人が主観的に評価することが重要であるが、進行した認知症患者には、その自己評価が難しいとされる。そのためこれまでのスケールは知的機能や生活能力に対するものが多く、気持ちを評価するものはほとんどなかった。
今回、同研究グループは笑顔や喜びといった陽性の感情に焦点をあて、生活の質を評価することができるスケールを開発。9項目という少ない評価項目で、多忙な介護現場においても使用が可能となっている。陽性の感情に焦点を当てたこのような評価スケールは、世界でも初めてであり、画期的なこととされる。
このスケールを用いることで、認知症介護のさまざまなやり方を客観的に比較することが可能となり、よりよい介護方法の開発にもつながることが期待される。
▼外部リンク
・岡山大学 プレスリリース