R-CHOP群と比較した第3相試験結果に基づいて
武田薬品工業株式会社と同社子会社のミレニアム・ファーマシューティカルズ Inc.は10月10日、多発性骨髄腫治療剤である「ベルケイド(R)(一般名:ボルテゾミブ)」について、未治療のマントル細胞リンパ腫を対象とする追加承認を、米国食品医薬品局(FDA)より取得したと発表した。
画像はwikiメディアより引用
この追加承認取得は、オープンラベル、多施設、プロスペクティブ試験でデザインされた国際共同無作為化臨床第3相試験結果に基づいてなされたもの。試験では、骨髄移植非適応、あるいは非適応と思われる未治療のマントル細胞リンパ腫患者487人において、リツキシマブ、シクロフォスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾンの標準治療レジメン(R-CHOP)群と、ビンクリスチンを除いてベルケイドを含んだVcR-CAPの治療レジメン群を比較・検証した。
PFSを59%延長、完全寛解率でも優位性示す
同剤を静注で投与し、追跡期間40か月の中央値で比較したところ、VcR-CAP群では、R-CHOP群に比べ、無増悪生存期間(PFS)の59%延長が確認されたという。この有効性に関する主要評価項目として設定されたPFSは、独立評価委員会(IRC)によって評価されている。
完全寛解率でもVcR-CAP群が44%、R-CHOP群は34%と、ベルケイドの有用性が示される結果となった。VcR-CAP群で最も多く認められた有害事象は、好中球減少、白血球減少、貧血、血小板減少、リンパ球減少、末梢性神経障害、発熱、悪心、下痢で、感染症はVcR-CAP群で31%、R-CHOP群で23%、そのうち肺炎がVcR-CAP群で8%、R-CHOP群で5%であったと報告されている。投与中止に至ったケースは、VcR-CAP群で8%、R-CHOP群で6%だったという。
マントル細胞リンパ腫に関して、FDAの承認を受けた新規分子標的治療薬は、いずれも再発・難治性の同疾患に対するものであり、未治療のマントル細胞リンパ腫に対して承認を受けた新規分子標的治療薬はベルケイドが初となる。なお、ベルケイドは2006年に再発・難治性のマントル細胞リンパ腫治療薬として承認されていることから、今回の追加承認取得により、米国では全マントル細胞リンパ腫患者の初回治療で使用が可能となった。