日本医師会の横倉義武会長は15日、財政制度等審議会が後発品の使用促進に向け、参照価格制度の導入を提言したことに対し、「日本全国の地域において、あらゆる後発品が必ずしも安定的に供給されていないことを踏まえると、まだ無理ではないか」との見解を示した。その上で、依然として品質と安定供給体制に不安があると指摘。国がメーカーを指導していくなどの環境整備が必要と訴えた。
財政審は、8日の財政制度分科会で、医薬品の保険給付を適正化するため、先発品の保険給付額を後発品に基づき設定し、それを上回る部分は患者負担とする「参照価格制度」の検討を提言した。
ただ、横倉氏は「保険給付部分に加え、それを超える部分は全額自己負担となり、自己負担が大幅に増加する。こういう制度を導入すると、支払能力によって必要な医療が制限される心配がある」と懸念を表明。
財政制度分科会では、後発品ロードマップの目標再設定、保険者機能の強化など、さらなる後発品の使用促進に向けた提言を行っているが、横倉氏は「後発品が先発品と同等との認識は一致しているが、まだ原薬や添加剤の違いなどにより、不安をいだく国民、医療者もいる」と指摘した。
その上で、「十分な信頼性を得られていない一部の後発品の情報を吸い上げて検討し、有効性や安全性、品質に関する情報を提供する必要がある」とし、さらに国民や医療者の信頼を得るよう、後発品の品質や供給体制の安定に向け、国がメーカーを指導していくことなどの環境整備が必要と訴えた。
薬価の毎年改定については、「診療報酬改定と薬価改定はセットで行うことを前提に現在の算定ルールが設定されているため、毎年改定は診療報酬とのバランスを欠くことになる」と改めて反対姿勢を示し、「医療機関、調剤薬局のレセプトコンピュータや保険者のマスター更新に毎年膨大な費用が発生することになるなど、大きな負担を強いることになる」と強調した。