多剤耐性菌を含むグラム陰性菌に対する臨床試験で有用性示す
塩野義製薬株式会社は10月10日、新規注射用シデロフォアセファロスポリン系抗菌薬「S-649266」について、多剤耐性菌を含むグラム陰性菌に対する非臨床試験で良好な成績が得られたと発表した。
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この試験データは、米国感染症学会週間「Infectious DiseaseWeek 2014(IDWeek 2014)」において発表されている。ヒトにおける感染を模倣した条件下において培養した臨床分離株に対するin vitro薬効評価試験で、S-649266は多剤耐性菌を含むグラム陰性菌である緑膿菌やアシネトバクター及び腸内細菌に対して、既存のセファロスポリン系薬剤またはカルバペネム系薬剤と比べ、より強力な抗菌活性を発揮したという。
特にカルバペネマーゼ産生菌には、セフェピムやメロペネムより強力な抗菌活性を示し、その有用性が示唆される結果が得られている。
第2相臨床試験進行中、2015年中には第3相へ
また、S-649266は安定性にも優れ、カルバペネマーゼに関し、既存のセフタジジム、セフェピム及びメロペネムと比べて10~1,000倍安定していたという。ラット実験では、カルバペネム耐性を示す肺炎桿菌を肺感染させたラットで、S-649266のヒト静脈内投与試験の1回2g、1日3回、3時間点滴/回と同様の血漿中薬物濃度推移となるよう投与して観察を行い、強力な抗菌活性を示すことを確認している。
近年、抗菌薬の化学構造の一部を分解する酵素を産生し、既存の薬剤に耐性を示す薬剤耐性菌の数が年々増加しており、とくに多剤耐性を示すグラム陰性菌を原因菌とする院内感染や重症感染症は、重大な社会問題となっている。
S-649266は塩野義製薬によって創製された薬剤で、“トロイの木馬”と称される独自の菌体内への取り込み機序を有し、多剤耐性緑膿菌及び多剤耐性アシネトバクターなどに対する良好な抗菌作用が確認されていることから、この多剤耐性菌に対して新たな治療選択肢をもたらす抗菌薬になるものと注目されている。
なお、このS-649266に関しては、現在第2相臨床試験が進行中で、2015年中には第3相臨床試験を開始する予定となっている。
▼外部リンク
・塩野義製薬株式会社 プレスリリース