■薬機法施行に照準
厚生労働省は、「医薬品等輸出入手続オンラインシステム」(NACCS)の本格稼働を来月25日から開始する方針を固めた。食品衛生、植物検疫等に続き、新たに薬事法関係手続の機能をNACCSに追加し、医薬品、医薬部外品、医療機器、化粧品等の輸出入手続きを全て電子化する。紙ベースの申請手続きも残す。医薬品医療機器等法(薬機法)の施行に合わせ、製薬企業等の事業者による電子申請を全国的に開始したい考えだ。
NACCSは、航空貨物、海上貨物の輸出入手続きを電子的に処理する官民共用システム。既に食品衛生、動物検疫、植物検疫に関する輸出入手続きが電子化済みとなっている。今回、厚労省は新たに医薬品、医薬部外品、医療機器、化粧品等の輸出入手続きの電子化を本格稼働させる。
NACCSに医薬品等の輸出入手続きを追加することで、輸出入届出、薬監証明等の手続きを電子化し、地方厚生局、医薬品医療機器総合機構(PMDA)、税関で輸出入届出、薬監証明等の確認をペーパーレスで行えるようになる。
製薬企業等の事業者がオンライン上の画面から必要な項目を一度入力するだけで、薬事法手続きから輸入通関申告までの一連の輸出入手続きがワンストップで完結する。
製薬企業や代行業者が現在、地方厚生局に必要な書類を持参したり、郵送している紙ベースでの輸出入手続きをオンライン上で24時間届け出ることが可能となり、手続きに関するコスト削減と時間短縮が期待される。
先行して関西では、昨年3月から関西イノベーション国際戦略総合特区事業の一つとして、関西国際空港に輸入される医薬品等を対象にした薬監証明電子申請システムの実証実験が進められ、手続きが大幅に短縮される成果を得た。
こうした実績も踏まえ、厚労省は、従来のNACCSシステムに薬事法関係手続きの機能を追加し、医薬品、医薬部外品、化粧品等の輸出入手続き(輸入届出、薬監証明、輸出用製造輸入届出)を電子化するための準備を進めてきたが、来月25日の薬機法の施行に合わせて本格稼働させることにした。
既に厚労省は、NACCSの本格稼働に向け、9月に全国で説明会を開催。15日には日本製薬団体連合会等の関係団体に対し、NACCSシステムに関するQ&Aを事務連絡しており、本格稼働に向けた準備はシステムの細部を詰める最終段階に入った。今後さらに通知や事務連絡を発出するかどうかは未定としている。
厚労省医薬食品局監視指導・麻薬対策課は、「製薬メーカー等の事業者には、従来の手続きを残しつつ、選択肢の一つとして電子申請を利用できるようになると捉えてほしい」と話している。