■4期制で最大3期エントリー
文部科学省は、14日の薬学実務実習に関する連絡会議(座長:太田茂・広島大学大学院医歯薬保健学研究院教授)に「薬学実務実習に関するガイドライン(GL)」案を示した。新たな「薬学教育モデル・コアカリキュラム」に則した実務実習を円滑に行うため、臨床準備教育から実習後の評価など、全ての段階において大学側への主体的な関与を促している。GLに則した実習が行われているかどうかを毎年、検証することを求めているほか、病院と薬局で行われる実習に連続性を持たせるため、実習の枠組みを現行の3期制から4期制に変更し、最大3期までエントリーして割り振る方向性を示した。
これまでの実習では、大学の教員が開始時と終了時に薬局や病院にあいさつに来るものの、実習中に訪れて学生が受けている学習内容を確認するケースはあまり見られず、「施設に丸投げしている」との指摘があった。
GLでは、実習でどのような指導が行われているのかを把握し、各大学の教育の改善につなげていくというサイクルを循環させるため、大学側が主導して実習に取り組むよう求めた。
具体的には、大学の臨床準備教育において、学生が臨床現場でスムーズに参加・体験型の実習を行うことができるレベルに持っていくため、少なくとも既に実施されている「実務実習事前学習」の実施基準を確実に担保する責務があるとした。
そのためには、実習施設と連携を密にして実習の内容と質の担保に積極的に関与し、学習効果を常に確認するよう求めた。
また、大学が指導薬剤師や実習施設の評価にも主体的にかかわる必要性を指摘。実習中の連絡等の不備や、実習生からの苦情、実習施設間格差や指導者間格差がなかったかどうかなど、「GLに則った実習が行われたかどうかについて評価する」ことが明記された。
現行の実務実習では、病院実習、薬局実習ともに11週間ずつ計22週を標準とし、5~7月(第1期)、9~11月(第2期)、1~3月(第3期)の三つの期に日程を分けて実施するケースが多いが、改訂コアカリでは、病院と薬局実習の内容を一本化しており、連続して2期を組めるようにするため、偶数の4期制にして最大3期までエントリーして割り振ることを提案した。
会議では、これまでの反省を踏まえ、「大学側の主体性を促すような表現をもっと前面に出すべき」「GLの趣旨をどうやって現場に浸透させるかが課題」などの意見が出た。
この日の議論を踏まえて修文し、今週中にも日本薬剤師会や日本病院薬剤師会、薬学教育協議会、日本薬学会などにGL案を送付し、意見を求める。